長崎の爆心地から12キロ以内で原爆に遭いながら被爆者と認められていない被爆体験者が、長崎原爆の日(8月9日)に長崎を訪れる首相らと面会し、救済を直接訴える見通しになった。首相らが被爆者団体代表から要望を聞く恒例の場に被爆体験者も出席する。首相が被爆体験者と面会するのは初めてで、救済の問題にどのような見解を示すのか注目される。
長崎の被爆者4団体と被爆体験者3団体、長崎市が1日に協議し、市が面会の進行要領案などを示した。
被爆体験者は長崎の爆心地の東西約7~12キロで原爆に遭い、「放射性降下物で健康影響を受けた可能性が否定できない」と訴えている。国は広島原爆投下後に降った「黒い雨」の体験者について、原告が勝訴した広島高裁判決(2021年7月)の確定を受け、22年4月から従来の援護区域外で雨に遭った人への被爆者健康手帳の交付を始めた。一方、長崎の被爆体験者は「降雨の客観的な記録がない」として手帳の交付を認めていない。
2月の衆院予算委員会で被爆体験者との面会について、武見敬三厚生労働相が「検討する」と答弁し、厚労省と長崎市が面会に向けて調整した。首相らが被爆者団体から要望を聞く場に被爆体験者3団体も出席する形となるが、市が示した進行要領案では発言時間が3団体で計5分間とされ、被爆体験者や被爆者からは「十分な発言時間を確保すべきだ」との声も上がっている。【樋口岳大、尾形有菜】
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