和歌山地裁、和歌山家裁、和歌山簡裁が入る庁舎=竹内望撮影

 和歌山県立和歌山商業高校(和歌山市)で8年前、硬式野球部員だった男性(25)が男性コーチ(当時)から至近距離で受けたノックの球が頭に当たり後遺症が残ったなどとして、県とこの元コーチに計約4400万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が28日、和歌山地裁(高橋綾子裁判長)であった。県側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。

 訴状によると、男性は1年生だった2016年3月、ピッチャーマウンドより前の位置で行われた守備練習で、当時の監督が打った球に飛び込んだが捕球できず倒れ込んだ。起き上がる途中に元コーチが打席のやや前方でフルスイングした打球が左側頭部を直撃。男性は同市内の病院に救急搬送され、左側頭骨骨折、左側頭葉脳挫傷などのけがをした。19日間入院し、退院後も外傷性てんかんの後遺症が残った。

 男性側は、学校や顧問が危険を予見し、適切な措置を取らなかったのは注意義務違反だと主張。元コーチに対しては、男性が球を捉えていない状況だと確認していながら故意にノックを浴びせたなどとし、不法行為に当たると指摘した。

 また、県教委や学校から事故の詳細な説明が遅れたなどとして、男性の両親が県と元コーチに計200万円の慰謝料を求めて提訴し、男性の訴訟と併せて審理された。【藤木俊治】

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