空襲議連の総会で早期救済を訴える空襲被害者たち。(左から)安野輝子さん、吉田由美子さん、河合節子さん=東京・永田町の衆院第1議員会館で2024年4月17日、栗原俊雄撮影

 国の戦後補償を受けていない民間人空襲被害者の救済を目指す超党派の国会議員連盟(空襲議連)の総会が17日、国会内で開かれた。新執行部が空襲体験者の聞き取りを行い、早期の立法を目指すことを確認した。

 ともに空席だった会長、事務局長にいずれも自民党衆院議員の平沢勝栄・元復興相、松島みどり・元法相がそれぞれ就任。平沢会長は「目的は集まること、議論することでもない。結果を出すこと」、松島事務局長は「国としての責務がある。今国会を目指します」と話した。また、初めて参加した木原誠二・自民党幹事長代理は「戦後80年の節目に、何をやるのかが日本として、国として問われる。全力で私もやりたい」などと強調した。

 空襲被害者の安野輝子さん(84)は堺市から参加。1945年7月、6歳の時に鹿児島県川内市(現薩摩川内市)への米軍機空襲で、左膝から下を失った。70年代から立法活動に関わり、大阪空襲国賠訴訟の原告団代表世話人も務めた。「軍人軍属だけが戦っていたのではありません。いまだ謝罪はおろか1円の援護もありません。私たちが黙って眠ったら再び同じ事が起こると思います」と訴えた。

 また同年3月10日の東京大空襲で孤児になった吉田由美子・全国空襲被害者連絡協議会共同代表(82)は「私たちに本当の戦後を迎えさせてください」とし、母親と弟2人を失った河合節子さん(85)も「戦後処理の最大の空白を埋める最後の機会」と話した。

 政府は52年の独立回復後、元軍人・軍属やその遺族らには累計60兆円の補償や援護を行ってきたが、民間人空襲被害者には「国が雇用していなかった」などとして補償を拒否。東京、大阪、名古屋などの空襲被害者による訴訟が相次いだが、いずれも最高裁で敗訴が確定している。

 議連は2011年、与党だった民主党議員を中心に結成されたが、その後活動を停止。15年に再スタートした。議連が目指す法案の主な点は、空襲や艦砲射撃などで障がいやケロイドを負い、かつ法施行時に生存している人らに一律50万円を支給し、被害の実態調査を行うことなど。対象は推計で4600人程度、予算総額は二十数億円。野党は党内手続きを完了しているが、与党が進まず法案提出に至っていない。【栗原俊雄、安藤いく子】

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