原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡り、佐賀県玄海町議会(定数10人)は17日、原子力対策特別委員会を開き、町内3団体から提出された文献調査受け入れを求める請願の審査を始めた。25日の特別委で採決したうえで、26日に本会議を開き採決する見通し。
文献調査(2年程度)は3段階の選定調査の最初の段階で、受け入れると国から最大20億円が交付される。毎日新聞の取材では、請願採択に賛意を示している町議が半数を超えている。請願が採択されれば、脇山伸太郎町長が最終判断する。
請願は、町旅館組合▽町飲食業組合▽町防災対策協議会――の3団体が提出し、4日受理された。旅館組合は「放射性廃棄物の発生原因を有する自治体の責務として、文献調査に応じることで国に協力すべきだ」、飲食業組合は「最終処分場は新たな産業振興策の選択肢の一つ」としている。
町議9人が出席した17日の特別委(1人欠席)では、参考人招致した資源エネルギー庁や原子力発電環境整備機構(NUMO)の担当者がエネルギー政策や文献調査などについて説明。質疑では、町議から「(最終処分場は)議論しなければならない問題だ」との意見が出た一方、「風評被害が心配だ」との懸念も示された。
特別委終了後、記者団の取材に応じた脇山町長は「議会の採決が出れば私が判断しなければならない時が来ると思っている。こうするということは決めていない」と述べた。
九州電力の池辺和弘社長は17日、記者団の取材に「原子力を進めるために最終処分場は大事な場所だ。議論されるのはよいことで、見守りたい」と語った。【五十嵐隆浩、森永亨、久野洋】
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