王立音楽大学のパフォーマンス・ラボでの演奏鑑賞後、学生たちと交流される天皇陛下=ロンドンで2024年6月26日午後3時1分、幾島健太郎撮影

 英国訪問中の天皇陛下は26日午後(日本時間同日夜)、ロンドン中心部の王立音楽大を訪問された。オックスフォード大留学中の1985年に訪ねた時との教育環境の変化に驚きつつ、音楽家を目指す若者たちとにこやかに交流した。

 陛下は「パフォーマンス・ラボ」と呼ばれる教室を見学。この教室では、最先端の音響や映像技術で実際の聴衆のいるコンサートホールのような環境で、教室にいながら演奏できる。ホールのような環境で学生たちがビオラ演奏やソプラノ歌唱を披露すると、陛下は拍手を送り、練習や英国での暮らしなどを尋ねていた。

 ビオラを学ぶ学生は取材に「緊張していましたが、温かい笑顔をくださったので演奏を楽しめました」と話した。

 陛下は「ビオラ・ダ・ガンバ」など古楽器の演奏も聞き、日本ゆかりの学生とも交流。「(パフォーマンス・ラボは)私が留学していた時はありませんでした。新しい技術ですね」と最新技術に驚いた感想を伝え、「お会いできて良かったです」などと声をかけていた。

 同日夜(日本時間27日未明)は、ロンドンの金融街「シティー・オブ・ロンドン」のギルドホールで、金融街主催の晩さん会に出席された。約650人の金融関係者や英国で活躍する日本人らが出席。陛下は「私たちの英国訪問を通じて、両国の人々が友好親善の絆を再確認し、人類共通の課題解決のためのリーダーシップを次世代につないでいく機会になれば幸いです」とあいさつした。

 ギルドホールも留学中に訪ねたことがある陛下は、英国のお金の扱いに慣れなかった留学当初、コインより紙幣を多く使ってしまい、ためすぎたコインが財布からこぼれ落ちてしまったというエピソードを披露。「コインどころか、財布すら持ち歩かず、クレジットカードやスマートフォンだけで済ます人も多いと聞き、40年という時の経過を感じます」と話した。【ロンドン山田奈緒】

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