北川健太郎容疑者=大阪市福島区で2018年3月1日午後4時23分、宮嶋梓帆撮影

 大阪地検検事正の在任中に性的暴行事件に関わったとして、大阪高検は25日、元検事正で弁護士の北川健太郎容疑者(64)=京都府=を準強制性交等の疑いで逮捕した。高検は容疑の詳しい内容や認否について「被害者のプライバシー保護のため差し控える」として公表していない。

 関係者によると、北川容疑者は検事正として大阪地検のトップを務めていた2018~19年ごろ、抵抗できない状態だった女性に性的暴行を加えた疑いが持たれている。在任中の容疑とされるため、上部組織の大阪高検が捜査したとみられる。

 北川容疑者は1985年、検事に任官した。大阪を中心とした西日本の検察で主要なポストを歴任。大阪地検刑事部長や大阪高検次席検事を経て、最高検刑事部長を務めた。

 検事正時代には学校法人「森友学園」に国有地が売却された問題で、佐川宣寿元国税庁長官らを不起訴とした捜査を指揮した。検事正を最後に退官。20年に弁護士登録し、大阪弁護士会に所属していた。転身後は大阪市内の法律事務所で、企業法務などを中心に活動していたという。

 大阪高検の小橋常和次席検事は「検察の要職にあったものが逮捕されたことは誠に遺憾。適正に捜査を遂げたうえで処分を検討したい」とのコメントを出した。

 高検が容疑内容を公表しなかったことについて、甲南大の園田寿名誉教授(刑法)は「被害者のプライバシーを守ることは大切だが、容疑の内容が一切明らかにされないと、逮捕の妥当性を後に検証できない。可能な範囲で説明すべきではないか」と指摘している。【高良駿輔、土田暁彦】

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