着陸時に海保機と衝突し炎上した日航機=羽田空港で2024年1月2日午後7時5分、手塚耕一郎撮影

 東京・羽田空港で今年1月に日本航空(JAL)と海上保安庁の航空機が衝突した事故をめぐり、国土交通省の対策検討委員会は24日、再発防止策をまとめて正式に公表した。滑走路への誤進入を知らせる警報音の導入や、管制官の増員など、ハードとソフトの両面から対策を進め、総合的に事故リスクを下げる狙いがある。

 航空安全の専門家らで作る対策検討委員会が、再発防止策を「中間まとめ」として策定した。管制官やパイロットによるヒューマンエラー(人的ミス)が起きても事故につながらないよう、多重の安全対策が必要と指摘している。

 羽田空港の事故では、離陸のためC滑走路に進入した海保機に、着陸してきたJAL機が衝突。JALの乗員乗客は全員脱出したが、海保機では機長を除く5人が死亡した。

 海保機は空港管制の許可を得ず滑走路へ進んでいたが、管制官は気付かなかったとみられている。現在のシステムでは管制官の手元のモニター画面に誤進入が表示されるが、中間まとめでは、警報音も追加すべきだとした。

 また、主要空港には離着陸の調整を担当する管制官を新たに配置し、滑走路担当の管制官が監視業務に専念できるようにする。管制官の中途採用を促進し、欠員の解消を図る。

 一方、羽田の事故では、管制官が離陸順1番目であることを意味する「ナンバーワン」という言葉を伝え、海保機側が着陸許可を得たと勘違いした可能性が指摘されている。国交省は事故後、離陸順を伝えないようにしていたが、パイロット側から要望があるため、離陸順の伝達を再開する。【原田啓之】

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