お買い物とチャーハンに革命が起きています。激安スーパーと中華チェーンのDX化最前線を取材しました。
■歯ブラシ29円!カツ重299円!食品も日用品も安い
(渡辺瑠海アナウンサー)「こちらのスーパーの広い店内、テニスコート25面分もあるそうです。大勢のお客さんで賑わっています。ズラッと並ぶ商品、いずれも激安価格です」
広大な店内に並ぶのは、およそ4万5000アイテム。いずれも、驚きの激安価格です。福岡に本社を構えるディスカウントストア「トライアル」。現在、関東では57店舗を展開していて、次世代型スーパーとして注目されています。
(買い物客)「助かっています、安いので」
(買い物客)「安い。食料品が主だけど洗剤でも日用品でも全部ここ」
(渡辺瑠海アナウンサー)「この歯ブラシ、1本29円。靴下は5足で399円」
日用品や食料品など、およそ3500種類のプライベートブランド商品は衝撃の価格。豊富な品ぞろえの中でも、一番人気はお惣菜です。
(渡辺瑠海アナウンサー)「こちらの『玉子サンド』、卵がたっぷり入って199円。卵が高騰しているにも関わらずこのお値段です」
卵3個を使用したボリュームたっぷりのサンドイッチが199円。
(買い物客)「かつ重なんか最高においしい、お値段も安いし」
(買い物客)「ずっしり重くてお肉も分厚い、299円」
ロースかつ重は、299円!年間700万食を売り上げる、大ヒット商品です。
■激安価格を実現する最新技術
(渡辺瑠海アナウンサー)「こうした激安価格の秘密は、独自のテクノロジーの活用にあります。その一つが、このレジカートです」
カートに設置された端末で、商品のバーコードを読み込み、かごに入れていくだけ。レジ待ちの長い行列に並ぶ必要はありません。
(渡辺瑠海アナウンサー)「あっという間!レジが一瞬で終わりました、早い」
(買い物客)「これ始まったときから使っていますよ、便利だもん。これやるようになってからレジにずっと並ぶ必要ない」
(買い物客)「スマホだとかパソコンより簡単ですよ。カードかざして番号打ち込めばすぐ」
このレジカートの導入で、トライアルでは人件費をおよそ2割削減。その分、商品の安さに還元できているといいます。
■大型モニターで“から揚げ一斉連絡” 積極告知で売り上げ
増
(渡辺瑠海アナウンサー)「店内には大きなモニターが取り付けられていて、商品の情報が流れています」
店内の至る所で目に付くのが、大型モニター。おすすめ商品などの情報を流し、一般的なスーパーのPOPの役割を担います。デジタルサイネージ化したことで、こんな発信も可能に!
(場内アナウンス)「チリンチリン、できたて〜」
(渡辺瑠海アナウンサー)「いま画面が切り替わってから揚げの画に変わりました。“ただいま出来立て”と書かれています。店内のすべてのモニターもから揚げに変わっています」
出来立て惣菜が並ぶタイミングで、広い店内に一斉にアナウンス!
(渡辺瑠海アナウンサー)「陳列が行われているから揚げにお客さんが手を伸ばしました」
従業員が声を出して呼びかける必要もなく、店内中に一斉に告知し、購買意欲を掻き立てられるというわけです。
(買い物客)「あたたかいので買ったらすぐ食べます」
この店ではデジタルサイネージの導入以降、売り上げが1割以上アップしたといいます。
■AIカメラで店内をリアルタイム分析…“自動値下げ”実現
(渡辺瑠海アナウンサー)「他のスーパーにはない最大の特徴はこちらのカメラ、“AIカメラ”です」
天井付近の至るところに設置された、この白いカメラ。実は、最先端のAIカメラです。合計41台のカメラがお客さんの流れや商品の状況をリアルタイムで解析しているといいます。福岡県の店舗で実験的に行われているのは、このAIカメラを活かした“商品の自動値下げ”です。
(トライアルカンパニー 野田大輔さん)「AIが判断しているのは、商品が売れ残っているかどうか。カメラが面積で商品があるかないか把握し、人が関わることなく値段を変更する仕組みをここで実験して作りました」
その仕組みは次の通り。AIカメラがリアルタイムで販売状況を確認。ある商品の在庫点数が多い場合、AIが自動で“値下げ”を判断、連動した電子値札の表示が切り替わるのです。人の手による値下げのシール貼り作業の手間が省けるため、大幅な人員削減が可能になるといいます。他にも、福岡の店舗では…顔認証によるレジでの無人決済も、すでに実用化。様々なデジタル技術を活用し、人手不足の解消と、販売価格への還元につなげているんです。
(野田さん)「お客様にお安くお得に商品を提供したい。お店にかかる運営のコストをどんどん下げていきたい。機械ができることは機械に置き換えていき、人がすべきことは人がやる。それを非常に心がけています」
■チャーハンもエビチリも…人気中華チェーンの調理ロボット
最新技術で人手不足の解決を目指す動きは、外食業界にも!
全国におよそ350店舗を展開する、「大阪王将」西五反田店。エビチリや五目あんかけ焼きそばなど、いずれもリーズナブルな価格で味わえるメニューを調理しているのは…ロボット。その名も、“I−Robo”(アイロボ)です。スタッフの作業は、ボタンを押して表示された食材を入れるだけ。加熱温度や時間、鍋の動きは自動で調整されます。
(利用客)「全然ロボットだと思っていなかった。スゴいなと、クオリティが」
(利用客)「機械ですか?えっ!?おいしいし提供も早いのでめっちゃ良い」
■“調理の達人”17人の技術と味を分析…ロボットで完全再現
お客さんたちが気付かないのも、無理はありません!実はこの「アイロボ」、単に調理するだけではなく、大阪王将の料理人の技術や味を“完全コピー”できるのです。
(TECHMAGIC開発担当 木村さん)「大阪王将様には全国に1級職人が17人。その技術をI−Roboに落とし込んで作っている」
大阪王将の職人は、その腕前に応じて1級から3級に分けられていておよそ500人の頂点に君臨する1級調理職人はわずか17人。入社12年目の渡部さんも、そのひとりです。
(大阪王将 渡部卓也さん)「大阪王将の職人技やレシピやクオリティー、効率よく、提供スピードも受け継いでいる」
その鍋のふり方やおたまの入れ方、火加減など細部に至るまで分析。半年間かけ、プログラミングしたといいます。
(木村さん)「フライパンとヘラが動き出しまして食材を攪拌している状態。いま少しヘラが速くなったと思うんですけど、職人さんの動きを忠実に再現するためスピードを上げたりしている」
「アイロボ」のヘラは、職人がふるうお玉の役割。ヘラを回転させれば炒め物、止めれば煮物ができます。例えばチャーハンの仕上げにかかる職人のこの動き。焼き目をつけるため、鍋に食材を押し付けているのですが…「アイロボ」も同じように焼き目をつけるため、スロー回転。さらに、調理のシメとなるこのあおりも…「アイロボ」は高速回転で対応!
(木村さん)「今度は最後の作業になるので 強火で一気にあおっていく。そんな職人さんの動きを再現しています」
さらに、中華の王道・麻婆豆腐。豆腐が型崩れしないよう、職人ほとんどお玉を使いません。するとI−Roboのヘラも動きません…さらにこのあとのポイントが、片栗粉を投入する際に鍋を火から離す、職人のこの動き…。これを、ロボットでどう再現するのでしょうか?
(木村さん)「どうしてもフランパンの温度が高いと片栗粉を入れた瞬間にダマになってしまう…少し温度を下げた状態で片栗粉をいれていきます」
(渡辺瑠海アナウンサー)「見た目にはわからないですけど、いま温度が下がっている?」
(木村さん)「少し下がっております」
職人が微妙に鍋を火から離した際の、微妙な鍋の温度の変化を再現すべく、アイロボも自動的に温度を下げているんだとか。
(渡辺瑠海アナウンサー)「見てください。お豆腐もちゃんと形が残っています、おいしそう」
一台で「大阪王将」20種類以上のメニューを調理できるという「アイロボ」。店舗では作業効率が大幅にアップし、五反田店では3人必要だった職人を2人で回せるように。さらに、従来の定食は白米がセットだったのが…おかずとチャーハンの定食が食べられるように!1人の職人が同時に作れるようになったことで、おかず+チャーハンという夢の組み合わせが実現したのです。
■“調理の達人”17人の技術と味を分析…ロボットで完全再現
そんな「アイロボ」の最新型がお披露目されたのが、食品製造に関わる最先端技術が一堂に会したイベント。「アイロボ2」には油ハネをふせぐ安全カバーが装備され、作れるメニューは、よりバラエティ豊かに!サイズをコンパクトにしてコンビニやスーパーでの導入を目指しているといいます。
(TECHMAGIC 代表取締役社長 白木裕士さん)「ロボットは人の仕事を奪うのではなく、人の能力を拡張するものだと私たちは信じています。現場の作業が軽減されて働いている人がワクワクできる環境を作ることに貢献していきたい」
6月23日『サンデーステーション』より
▶「サンデーステーション」公式ホームページ
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