23日に沖縄県糸満市の平和祈念公園で営まれた沖縄全戦没者追悼式で、岸田文雄首相があいさつを述べている際、男性が会場のほぼ中央で「わったーうちなーんちゅは、むるわじとんどー(私たち沖縄の人は、みんな怒っている)」などと叫び、警備中の警察官らに取り囲まれ、会場の外に連れ出された。あいさつは中断しなかったが、会場の一部は一時騒然とした。
式典会場は公園内の一部区域をフェンスで囲み、入場者には金属探知機による身体検査や目視による手荷物検査が実施された。フェンスの外で大勢の人が式の様子を見守っていた。首相のあいさつ中は「(岸田首相は)帰れ」「沖縄を戦場にするな」と会場の外からのシュプレヒコールも聞こえた。
玉城デニー知事は式典後、記者団の取材に「できるだけせいひつな環境で臨んでいただきたいと前もってお願いしていたが、あのような声が出たことも、県民、参加された方々の思いの吐露なのだろうと受け止めている」と語った。
政府は、県の反対を押し切る形で、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設計画を進め、昨年末には大浦湾側にある軟弱地盤の改良工事着手を、知事に代わって「代執行」で承認した。県内各地で進める陸上自衛隊の軍備増強にも、県民に反対の声がある。【比嘉洋】
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