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 奥歯を失うと認知症の発症リスクが高まるという研究結果が発表されました。奥歯を失うとなぜ、認知症のリスクが増加するのでしょうか。

■新事実 奥歯のかみ合わせと認知症リスクの関連性

なぜ認知症リスクが増加? この記事の写真は18枚

 九州大学大学院の研究グループが、奥歯のかみ合わせの状態とアルツハイマー型認知症の関連性について調査しました。

九州大学大学院の研究グループが調査

 この調査では、奥歯を上下2本ずつ4本を1つのグループとして4カ所に分けて分類し、上下とも歯の欠損がないなど4カ所全てでかみ合わせがある状態と比較しました。

 その結果、歯の欠損などで一部かみ合わせがない場合、認知症リスクが1.34倍高くなりました。
 さらに、前歯も含めてかみ合わせが全くない場合や、総入れ歯の人の場合は、認知症リスクが1.54倍高くなりました。

歯のかみ合わせと認知症リスク

 なぜ、奥歯がないと認知症リスクが高くなるのでしょうか。

 九州大学大学院の鮎川保則教授によると、奥歯がない人は、あまり噛まなくても良いうどんやお粥など、炭水化物メインの食事に偏りがちになります。
 そうすると、筋肉を作るたんぱく質が不足して、筋肉が落ちて、足腰が弱くなってしまいます。

 結果、外出をしなくなり、刺激や人との会話などが減り、認知症の進行リスクが高まるということです。

鮎川教授が考える奥歯がない人の変化

 奥歯がないと、他の病気リスクも高まります。奥歯で食べ物を細かくできず、食べ物を詰まらせてしまうことで、誤嚥性肺炎を起こす可能性があります。

奥歯がないことによる病気のリスク

 総入れ歯でも、認知症リスクが高くなります。

 鮎川教授は診療の際、総入れ歯の患者さんから、「何でもよく噛めます」と言われることが多いそうです。
 話を聞いてみると、肉類や硬い野菜などを避けた食事を摂っていて、栄養が偏っている患者さんが多いということです。
 結果、奥歯がない人と同じように、たんぱく質が不足し、足腰が弱くなり、外出などが減り、認知症の進行リスクが高まります。

総入れ歯でも認知症リスクが高い傾向 鮎川教授です。
「奥歯は、他にも発音や瞬発力、記憶力にも関わる、人間にとって重要な歯。若いうちから歯を失わないよう心がけることが何よりも大事」ということです。 九州大学大学院 鮎川保則教授

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■奥歯失う「歯周病」、なぜ高齢になると歯がなくなる?

■奥歯失う「歯周病」、なぜ高齢になると歯がなくなる?

 一般的に、高齢になると歯が少なくなります。失いやすい歯は、奥歯です。 原因として最も多いのが『歯周病』、次に多いのが『むし歯』となっています。

「歯は奥歯から失われることが多い」調査結果

 歯周病は、1ミリグラムに10億個を超える細菌がいる歯垢(プラーク)や、歯石に細菌が生息して、歯茎が炎症し、歯を支える骨が溶ける病気です。
 日本では、15歳以上の人の約50%が歯周病になっていると言われています。

歯周病とは?15歳以上の約半数が該当

 炎症が起こると、歯と歯茎の境目にできる溝「歯周ポケット」が深くなります。この歯周ポケットの深さが6ミリ以上だと、重度の歯周病『歯槽膿漏(のうろう)』です。

歯周ポケットの深さ6ミリ以上で『歯槽膿漏(のうろう)』

 なぜ歯周病になってしまうのでしょうか。

東北大学大学院の菅野太郎教授によると、
●口の中に興味がない。そうすると、ケアを怠り放置することになります。
●歯の汚れは蓄積されていきます。
●その結果、歯周病になります。 菅野教授です。
「歯周病は生活習慣病。治療だけで改善しないので、毎日の口腔ケアが大事」だということです。 東北大学大学院歯学研究科 菅野太郎教授

 歯周病が進行すると、歯周病菌や毒素が血液を経由し全身へ流れ、疾患を引き起こします。

歯周病によって起こる病気は、
●アルツハイマー型認知症
●心筋梗塞
●動脈硬化
●脳梗塞
などです。 歯周病の進行によって引き起こされる疾患

 高齢者が歯を失う原因は他にもあります。

 長年持病の薬を服用していると、副作用で口内乾燥が起こることがあり、唾液量が減って、歯周病や虫歯のリスクが上がります。
 加齢により歯茎が下がることでも、虫歯のリスクが上がります。

高齢者が歯を失う原因

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■実演 歯みがき攻略法 “奥歯を守る”ポイントは

■実演 歯みがき攻略法 “奥歯を守る”ポイントは

 奥歯を守るには、歯みがきです。

 奥歯を守るポイントが2つあります。1つ目が『歯ブラシの選び方』、2つ目が『適切なみがき方』です。

 まず、歯ブラシの選び方です。ブラシの部分が小さく小回りが利いて、ブラシの根本の部分が薄いものがおすすめです。

奥歯を守る歯ブラシの選び方

 基本のみがき方です。

 これは、奥歯に限らずですが、歯の表面、歯と歯茎の境目、歯と歯の間それぞれに、毛先をきちんとあてます。
 歯ブラシの毛先が広がらない程度の軽い力でみがきます。 歯ブラシは、“鉛筆持ち”がいいです。 5ミリから10ミリぐらいの幅で小刻みに動かします。

基本の歯のみがき方

 そして、奥歯のみがき方です。

(1)頬っぺた側の奥歯
口を閉じ気味にします。
「い」の唇になるよう、歯ブラシの柄で口角を軽く引っ張るようにすると、歯ブラシが奥歯まで届きやすくなります。

(2)舌側の奥歯
歯の並びと平行になるように歯ブラシを入れます。

(3)奥の歯の奥の部分
〇のついているところです(画像)。 ここは、歯ブラシの先端部分の毛先を使ってみがきます。 奥歯の適切なみがき方 3つのコツ

 玉川さんは、歯をしっかりみがいています。歯と歯の間には、フロス。そして、奥歯の奥にテーパードタフトブラシ、テーパードハブラシ。

 九州大学大学院の鮎川教授がおすすめする、歯周ポケットにいいのが、ペリオブラシです。

玉川さんの奥歯みがきの道具

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年6月18日放送分より)

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