全国各地で真夏日を記録した16日、岐阜県内の川で外国人の水難事故が相次いだ。いずれもバーベキューや川遊びをする人たちでにぎわう場所で、過去にも多くの人が命を落としている。「言葉の壁」などで注意喚起が届きづらい外国人には、どう対応したら良いのだろうか。
最初の事故があったのは16日午前。岐阜県美濃市を流れる板取川で、シリア人の自営業、リストン・マハマドさん(23)=同県海津市=が流されて死亡。午後には、約3キロ離れた同市の長良川で、パキスタン人の会社員、ファリード・ムハンマドさん(30)=愛知県小牧市=がおぼれて死亡した。
岐阜県警によると、2人はそれぞれ友人や親族らと河川敷に遊びに来ていた。当時、川の流れは穏やかで、2人が溺れた地点はいずれも水深5メートルほどだったという。
事故現場はこれまでも水難事故が多く発生してきた。岐阜県によると、ムハンマドさんが亡くなった長良川の美濃橋周辺では2003~20年、県内最多の48人が事故に巻き込まれた。特に5月の大型連休から夏ごろまでは河川敷がにぎわい、外国人も多く訪れるため、県はホームページや看板などで多言語で注意喚起している。
外国人に川での事故防止について講習を行った経験のある「川の研究室」の間野静雄代表(55)は、流れが複雑で急流もある日本の川の特徴を指摘し「大陸のゆったりとした川とは異なるので外国人は注意が必要だ」と話す。
間野さん自身が実施した外国人向け生活相談会では地域の外国人コミュニティーを通じた周知が効果的だったといい、「より届きやすい方法で危険箇所を周知することで事故防止につながるのではないか」としている。【田中理知】
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