国会議員の不祥事よる処分はさまざまだが、同程度のものでもその“差”がある。自民の党則で定める処分は「党則など順守の勧告」から「除名」まで8段階存在し、それを通り越し、政治家として最も重い決断が「議員辞職」だ。
【映像】自民党による「議員処分」は8段階(図で解説)
解散や引退、別選挙に出馬などの理由以外で国会議員を辞職する例は極めて珍しいが、2016年に元衆議院議員の宮崎謙介氏は「ゲス不倫」発覚で、憲政史上初となる不倫問題で議員辞職した。
近年の議員の不祥事と処分を見てみると、コロナ禍での緊急事態宣言下にもかかわらず要請した側の自民党・大塚高司氏、松本純氏、田野瀬太道氏の「銀座3兄弟」がクラブで豪遊、離党勧告を受け入れ離党。しかしそのあと3兄弟とも復党した。18歳女性との飲食疑惑が報じられ、パパ活疑惑で炎上した衆議院議員の吉川赳氏に対して、立憲民主党は辞職勧告決議案を提出したが「議員の地位は重い」として廃案に。そして本人は会見も行わずに離党した。
不倫、重婚、ストーカー疑惑の中川俊直元経産政務官は離党。参議院議員の今井絵理子氏は手つなぎ不倫疑惑があったものの「一線は越えていない」「略奪不倫ではない」と釈明しておとがめなし。共産党のアイドル吉良よし子氏の“路チュー”もおとがめなし。元衆議院議員の菅野志桜里氏はW不倫疑惑で離党。2児の母、参議院議員の広瀬めぐみ氏は「赤ベンツ不倫報道」をされ、謝罪会見で「不倫は事実」「一生かけて家族に償っていく」と語り、こちらも不問となった。
元参議院議員のガーシー氏は国会に一度も出席せず72年ぶりとなる議員除名に。「おんぶ政務官」の衆議院議員の務台俊介氏は辞表提出。「エッフェル姉さん」の参議院議員の松川るい氏は自民党の女性局長辞任。「このハゲー!」発言の元衆院議員の豊田真由子氏は離党。
さらに“カネ問題”では、未公開株取引の元衆院議員の武藤貴也氏は離党。年金保険料約313万円未納の参議院議員中条きよし氏はおとがめなし。安倍派裏金問題不記載額234万円の元文化科学大臣の塩谷立氏は離党勧告処分で離党。ちなみに不記載額2728万円の元政務調査会長の萩生田光一氏は党役職1年停止という軽めの処分。同じく裏金3年間で140万円の元衆院議員の宮沢博行氏はこのときは議員辞職しなかったが、その後「半同棲」などが報じられ議員辞職している。
国際政治学者の舛添要一氏は「辞める人もいれば辞めない人もいる。結局はメディアなどの叩き方次第。私も相当叩かれた」「いいこととは言わないけれども、1年間6万円の経理ミスで都知事辞めさせるところまできた。じゃあ2000万、3000万裏金もらっていて平気だというのは、どういうそこに差があるのか。あんまりそれをやると、政治家になる人がいなくなるんじゃないか」とコメント。
元衆議院議員・宮崎謙介氏は「追い詰められて、考えて考えて考えると、責任の取り方は辞職以外ないと思ってしまった。離党では責任を取ったことにならない。有権者のみなさんが見たときに。それで一番厳しい議員辞職という選択肢を取った」と当時を振り返った。
元衆院議員・宮沢博行氏は「私のスキャンダルは大きく2つある。1つはコロナの緊急事態宣言中の同棲。これは言ってみれば銀座3兄弟と同じ。ですから、離党相当だなと思った」と語り、選挙に当選した直後に「辞める辞めないの基準」についてのレクチャーがあったことを明かして「ただのスキャンダルだったらそれはプライベート。しかし政策、政局、法律に絡んでくると職が危うくなる」と説明した。
ジャーナリストの青山和弘氏は「政治家は法律に違反していなかったとしても、選挙で国民に負託を得て仕事をしている立場だから、こういうものはもちろん選挙にも影響するし、説明責任を果たさなくてはいけないのが筋」と指摘。
さらに、政治家のスキャンダルがあった際にはワイドショーをチェックするという青山氏は「“報道する価値”があるとワイドショーが認定する著名な政治家はバーッと盛り上がって、何かけじめをつけないと収まらない。だからワイドショーで火がついたら、最後はけじめをつけないといけなくなってしまう。全然ワイドショーが騒がないと、週刊誌が報道しても『このまま逃げることができるだろう』とか。法律に違反していれば別だが、純粋なスキャンダルはそこに差がある、非常に不可解な差が出来てしまうところはある」と解説した。
舛添氏は「『口止めされた』と宮沢さんはおっしゃった。あれが大ニュースになって“時の人”になってしまった。あれがなければ出てこなかったと思う」と、自民党の幹部から「しゃべるな!」と言われ、かん口令を敷かれていたことを暴露し注目を集めてしまったことが原因だったのではないかと分析。「文春が書いていることは半分ぐらい嘘」と発言し、自身のスキャンダルの際も1日中話題が取り上げられていたとして「世の中ほかに大事なことがあるはずなのに」「まさに“ワイドショー政治”になってしまった」と切り捨てた。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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