続き柄欄に「妻(未届)」と記載された香川県三豊市の住民票の見本=同市役所で2024年6月14日午後0時13分、佐々木雅彦撮影

 香川県三豊市は7月1日から、同性カップルの住民票の続き柄欄について、男女の事実婚の場合と同様に「夫(未届)」「妻(未届)」と表記できるようにする。山下昭史市長が14日、6月定例市議会で表明した。社会保障など国の法律や制度に影響を及ぼすものではないが、山下市長は「自分らしく生きたいと誰もが願う当然の思いを支援したい」と述べた。【佐々木雅彦】

 同市はこれまで、続き柄欄には「同居人」と表記していた。同性カップルの住民票表記を巡っては、「同居人」「縁故者」とするのが一般的とされるが、長崎県大村市が5月、男性カップルの続き柄を「夫(未届)」と記載して交付し、異例の対応として話題になった。鳥取県倉吉市も2023年10月から同様の運用をしている。栃木県鹿沼市も7月から表記を可能にする方針で、東京都世田谷区も検討している。

同性カップルの住民票の続き柄欄の表記について答弁する山下昭史市長=香川県三豊市議会で2024年6月14日午前10時52分、佐々木雅彦撮影

 三豊市の山下市長は田中達也市議(無所属)の一般質問に答えた。田中氏は質問の冒頭、自身の弟(45)が当事者であることを明かした。弟は香川県外で年上の同性パートナーと暮らしており、同性婚が可能になるまで待ちきれずに養子縁組をしたと説明。田中氏は議場を見渡して「我が子が当事者だったらどうするか」と問いかけ、「性の多様性はイデオロギーの問題だととらえられがちだが、ぜひ皆さんに考えていただきたい」と訴えた。

 同市は20年、性的少数者のカップルを公に認める「パートナーシップ宣誓制度」を四国で初めて導入。22年には、同居する子どもや親も家族として公認する「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」に拡充した。

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