葬儀場=久田宏撮影

 高齢者の単身世帯は今後も増えると予測され、人生の最期を迎えた後に不安を抱く人は少なくない。「誰に頼めばよいのか」「周囲に負担をかけたくない」といった切実な思いに応えようと、葬儀の施行や納骨、公的手続きなどをセットにした「おひとりさま」向けの葬儀プランが登場した。

 全世帯に占める65歳以上の単身世帯の割合は、いや応なく高まる。国立社会保障・人口問題研究所が4月に発表した推計によると、人口規模が大きい団塊ジュニア世代が高齢者に加わる2040年には18・6%に達する。13・2%だった20年より5・4ポイント高い。

 既に社会問題にもなっている。総務省の調査では、21年10月の時点で全国の自治体で保管されている引き取り手がない「無縁遺骨」は、計約6万柱にも及ぶ。

 こうした実情を踏まえ、首都圏や近畿圏で葬儀場を展開する公益社(大阪市)は「喪主のいらないお葬式」と銘打った葬儀プランの提供を始めた。生前に葬儀の規模や代行してほしい手続きを選んで組み合わせる仕組みだ。

 葬儀の形式は▽通夜を営む家族葬▽通夜をしない一日葬▽火葬のみ――から選ぶ。死亡届などの提出や関係者への連絡、納骨・供養の手続きも任せることができる。公的手続きなどは行政書士や司法書士が代行する。

 この葬儀プランは、大阪、兵庫、奈良の3府県で5月15日に発売された。この地域での価格は、最も安い組み合わせで70万8400円。首都圏でも今年夏に発売する予定だ。

 公益社の担当者は「終活セミナーなどで参加者に案内すると、1人で暮らすリスクを改めて意識し、備えの必要性に気づく方が多いようです」と話している。【嶋田夕子】

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