被害者は少なくとも8600人、被害総額は20億円を超えるとみられます。若い女性が狙われた、新たな詐欺の手口「打ち子」の実態は。
■ニセ副業サイトで20億円超被害
狙われたのは隙間時間に副業で稼ぎたいという女性たちでした。
詐欺被害に遭った女性
「初めは『困っている人がいて相談を聞いてほしい』『報酬はいくらです』と先に出される。それに対して相談していく。そのためにはポイントが必要だと言われて」
詐欺などの疑いで逮捕されたのは男女26人。「男性の相談を聞くだけで報酬がもらえる」という偽の副業サイトに登録させ、被害者は少なくとも8600人。これまでの被害総額は20億円を超えるとみられています。
■若い女性狙い…「打ち子」の実態
被害に遭ったのはほとんどが女性。それも30代以下の若い世代です。
だましていたのは特殊詐欺でよく登場する「かけ子」や「受け子」ではなく、「打ち子」と呼ばれる存在でした。
詳しい詐欺の手口はこうです。ターゲットとなるのは、インターネットで「副業」や「隙間時間」などと検索する若い女性たちです。
容疑者らが運営するサイトにアクセスすると、そこには「男性の相談を聞くだけで報酬がもらえる」などといった、うたい文句が書かれています。
■高収入男性装い メッセージのやり取り
登録すると、会社役員やパイロットを名乗る高収入の男性からメッセージが届きます。これがいわゆる「サクラ」のメッセージを打つ「打ち子」です。
やり取りは男性の悩みを打ち明けることから始まります。
打ち子
「会社で働いている性格が真逆の2名の女性の扱い方が分かりません。どう接していいのか困っています」
被害女性
「平等に扱うことが大事です」
打ち子
「あなたのアドバイスは素晴らしい!悩みを解決してもらいました。お礼(40から50万円)をしたいので口座番号を教えて下さい」
打ち子はお礼として50万円ほどの報酬を支払うといいます。女性が口座番号を教えようとすると…。
打ち子
「個人情報の交換は禁止。個人情報をサイト内で交換するためには正規会員になることと、有料の専用回線の設置が必要」
女性は、正規会員になるための料金など、合わせて40万円ほどを振り込みましたが、報酬が送られてくることはありませんでした。
このグループで逮捕された打ち子は21人に上ります。
テレビ朝日 社会部 警視庁担当 屋比久就平記者
「(打ち子は)アジトに集められて、コールセンターのような形でパソコンを並べてひたすら打ち続けているという実態。シフトを組んで24時間、いつでも相談を打ち込める状態にしていた。こうした打ち子のスタイルは被害者と接することなく詐欺をすることができる。彼らにとってコスパの良い新しい詐欺といえる。こうしたSNS型の詐欺が流行し、新しい手口が増えていることを警察が非常に問題視していて、これから力を入れて取り締まりをしていく」
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