12日、西東京市のスーパーで80代女性がエスカレーターの降り口付近の床と手すりのレールとの間に首を挟まれ、死亡した。3月には水戸市で、72歳の男性が上着の一部が巻き込まれて死亡する事故が起きている。高齢者らはどのような点に気をつければいいのか。
日本エレベーター協会の調査では、全国で2018~19年に1550件の事故があった。60歳以上が723件と約46%を占め、うちステップ上での転倒が419件、乗降口での転倒が259件だった。
60歳以上の事故原因の40%が、手すりを持たなかったり、ステップの黄色い線から足がはみ出したりなどの「乗り方不良」で、「キャリーバッグ、歩行補助器」の使用が19%で続いた。
西東京市での事故では、警視庁田無署によると、店内の防犯カメラに、女性が地下1階に下りる際、1段下のステップに置いていた手押し車を持ち上げられずに転倒する様子が映っていた。
エスカレーターの安全に詳しい江戸川大の斗鬼(とき)正一名誉教授は「エスカレーターは階段と違って機械。乗り方に気をつけないと危険だ」と指摘。手押し車やベビーカーと一緒に乗ると、降り口を目で確認できなくなったり、車輪が引っかかったりする恐れがあるため、「絶対にやめるべきだ」とする。高齢者は、乗降時にエスカレーターの動きと自分の歩く速度を合わせることが難しくなっているため、「乗る前に少し離れてエスカレーターの速度を確認することが大事」と話した。
多くの場合、エスカレーター降り口の足元に非常停止ボタンが設置されているが、場所が分かりづらいという。斗鬼氏は「ボタンの存在の周知や設置場所を目立たせることを検討すべきだ」とした。
気をつけなければならないのは高齢者だけではない。東京消防庁によると、東京都内では19~23年の5年間にけがをした40人を年代別でみると、0~9歳の15人が最多だった。
東京消防庁は注意事項として、顔や手を乗り出さない、エスカレーターの側面に寄りかからないことなどを呼び掛けている。【白川徹、菅健吾、朝比奈由佳】
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