高校生ら304人の死者・行方不明者を出した2014年の客船セウォル号沈没事故から16日で10年を迎えた。犠牲になった高校生らが通っていた高校がある京畿道（キョンギド）安山市では同日、追悼集会が開催された。聯合ニュースによると、集会には遺族や市民など約3500人が参加。犠牲者を悼み、安全な社会の実現を願った。
事故で高校2年生の娘を亡くした遺族会の金鍾基（キムジョンギ）・運営委員長は集会で、事故からの10年間を「一日一日がとても苦痛だったが、この苦痛を他の国民に経験させてはならないとの気持ちで、市民と共に安全な社会を求めてきた」と振り返った。その上で「10年間の努力が無駄にならないように記憶し、（社会を）変えなければ、再び惨事を経験することになる」と訴えた。事故調査委員会の報告書では原因が特定されておらず、更なる調査と真相究明を政府に求めた。
式典に合唱団員として参加したイ・ダソムさん（21）は、当時のことを「最初、みな助かったかのようにニュースで報じられたが、船があっという間に沈み、犠牲者の数が増えていくのを見て衝撃を受けた」と回想。「誰が犠牲者になってもおかしくない事故だったが、真相が明らかになっておらず、国家が責任を果たしていない」と述べた。
事故を巡っては、救助の遅れや船会社の安全を無視した船体改造など多くの問題が指摘された。15年11月に最高裁（大法院）は乗客の救助活動をせずに船から逃げたとして、船長に対し、殺人などの罪で無期懲役を言い渡した。【韓国・安山で日下部元美】
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