総務省のロゴ=藤渕志保撮影

 総務省行政評価局は7日、里親制度に関する初の調査結果を公表した。年齢や性別など児童の属性と、里親側の希望が一致しないことにより、登録里親の約7割が委託を受けていないと指摘。不一致の解消には、短期委託やショートステイ事業といった制度を柔軟に活用し、里親側の受け入れ希望の幅を広げることが効果的だ、とこども家庭庁に勧告した。

 調査報告書によると、未委託の理由として「里親の希望に合う児童がいない」との回答が全体の約3割を占めた。児童相談所(児相)も「(経験の少ない)未委託里親に児童を預けることをちゅうちょしがち」だという。

 また、登録里親の半数以上を占める共働き世帯への委託が低調とした上で、要因として、保育園入園時に里親に対して「点数加算」をしていない市町村があると指摘。里親委託児童は保育園の優先利用対象だとこども家庭庁は通知しているが、実際は浸透していない。このため、優先利用の徹底も勧告した。

 このほか、児童との関係が悪化し、養育を続けられない「里親不調」が増加しているとも指摘した。

 社会的養護の下に置かれている児童は約4万2000人で、このうち里親などに養育されている児童はおよそ2割の約7800人にとどまる。多くが児童養護施設などに預けられているという。より家庭に近い環境で特定の大人と愛着形成を行うことが児童の発達に良い影響を及ぼすとして、国は2016年に児童福祉法を改正し、「家庭養育優先の原則」を明確化している。

 里親制度の推進に向けた課題を整理するため、総務省行政評価局は23年3月~24年6月、全国の児相や里親団体などに聞き取りやアンケートを行った。【安部志帆子】

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