北九州市小倉北区の旦過(たんが)市場一帯で2022年8月に起きた2度目の大規模火災で、業務上失火罪に問われた元飲食店経営の女性被告(63)の初公判が6日、福岡地裁小倉支部(渡部五郎裁判長)であり、被告は起訴内容を認めた。検察側は禁錮2年を求刑し、即日結審した。判決は7月11日。
検察側は論告で、周辺店舗などの被害が約6億円に上ったことを明らかにし「被害結果は甚大で刑事責任は重い」と指摘した。一方で弁護側は、重大な被害が発生した要因として、市場にトタン屋根で覆われた古い木造建物が密集し、構造的な問題があったなどとして執行猶予付き判決を求めた。
被告人質問で被告は、フライパンを加熱していたガスコンロから離れた理由について、客と一緒に帰宅するため早く後片付けを終えようと作業していたと説明し、「他のことをしている間に頭から抜け落ちていた」と答えた。最終陳述では「私の不注意で大規模火災を起こしてしまい深く反省している」と述べた。
起訴状によると、被告は22年8月10日午後8時25分ごろ、使用済み食用油を処理するため、調理場でフライパンに油処理剤を入れてガスコンロで加熱。他の作業に気を取られてその場を離れ、同40分ごろ発火させ、隣接する建物に燃え移らせて計29棟を全焼または一部焼損させたとされる。焼損床面積は3324平方メートルに上った。【井土映美、成松秋穂】
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