制帽を外して、安全確認をする西日本鉄道の担当者=福岡県大野城市で2024年5月31日午前11時18分、下原知廣撮影(画像の一部を加工しています)

 全国のバス事業者が、路線バスの運転手などの制帽着用を見直す取り組みを進めている。長く続いてきた制帽姿も、厳しさを増す暑さへの対策などを目的に変化している。

 福岡県を中心に路線バスの運行などを行う西日本鉄道グループは、これまで義務だった制帽の着用を、夏季期間に当たる6~9月は任意とする。西鉄バス北九州などグループ9社の運転手計約3400人、バス停の案内係や貸し切りバスのガイドなど約300人が対象だ。

 西鉄によると、夏場はバス車内の温度が上がりやすく、「帽子をかぶっていると頭が蒸れる」など運転手から改善を求める声が上がっていた。一方で「制帽がないと気持ちが引き締まらない」という意見もあり、任意化することにした。西鉄の担当者は「働き方の改善の一種。気持ち良く働いてもらえれば」と語った。

 熊本県内を中心に路線バスなどを運行する九州産交バスグループは、九州産交バスとグループ会社の産交バスの運転手約700人の制帽を今月廃止した。更に貸し切りバスを除く約660人の運転手のネクタイも廃止する。

 九州産交バスによると、夏場にエアコンを切ってバスを1~2時間待機させると車内は50度近くになることもある。コスト削減にもつながるとして、制帽などの廃止を決めたという。

 21年1月に約1100人のバス運転手の制帽を廃止した小田急バス(東京)は「制帽を廃止してお客さまから苦情を受けることはない。運転手からは視野が広がり、運転に集中できると好評だ」と回答した。【下原知広】

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