公費解体の作業が始まった「輪島朝市」=石川県輪島市で2024年6月5日午前10時39分、本社ヘリから
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 1月の能登半島地震による大規模火災で焼け落ちた「輪島朝市」(石川県輪島市)周辺の建物の公費解体が5日、始まった。地震から5カ月余りがたってもがれきの山が残っていたが、ようやく復旧の本格化に向けて第一歩を踏み出した。

 環境省と法務省は5月28日、全体が倒壊するなど明らかに建物としての機能を失っている場合、所有者全員の同意がなくても市町村の判断で災害廃棄物として解体できると、石川などの4県に通知した。これを受け、法務局の職権で建物が「滅失」したとする登記手続きがされ、輪島市が解体の開始を決めた。

 解体業者はこの日朝から、焼け焦げた土産物店わきの道路上に積み上がっていたがれきを取り除くなどした。妻の実家が跡形もないほど焼けたという坂上公平さん(75)は「更地にするだけでは意味がない。子育て世代が戻るようプランを示すことが必要だ」と話した。

 市によると、公費解体の対象は264棟で、このうち約100棟分の申請が今月初めまでにあった。残りの所有者にも申請するよう呼びかけている。解体の完了時期は見通せていない。

 総務省消防庁が5月28日に公表した調査報告書によると、輪島朝市の火災は元日の地震後間もなく発生した。完全鎮火は出火から5日後となった。焼失面積は4・9ヘクタールに及んだ。【竹中拓実】

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