首相官邸=東京都千代田区で2023年1月11日午前10時44分、竹内幹撮影

 政府は5日、男女の賃金格差解消のためのプロジェクトチーム(PT)の会合を開き、賃金格差が大きい金融・保険業や食品製造業など五つの業界に対して、格差解消に向けた行動計画の策定を促すことを柱とした中間とりまとめ案を了承した。5業界には今年中に行動計画を作り、できるだけ早期に公表することを求める。

 政府は物価高を上回る持続的な賃上げの実現には男女の賃金格差解消が不可欠としており、6月下旬にまとめる経済財政運営の指針「骨太の方針」にも柱の一つとして位置付けたい考えだ。

 賃金格差の大きさを指摘されたのは、金融・保険▽食品製造▽小売り▽電機・精密▽航空運輸の5業界。PTは、格差解消に向けた行動計画を公表し、女性採用割合など女性活躍に関する目標設定を検討することも求めた。

 格差の要因として、男女間の管理職比率や勤続年数の差に加え、総合職・一般職のようなコース別雇用管理によって「男女の役割分担が定着している」と分析。女性の活躍を無意識に阻むアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)が「根深く存在する」とも指摘した。

 中間とりまとめに関連し、内閣府は5日、女性が出産後も正社員で就労を続けた場合、出産後に離職し再就職しない場合に比べ、世帯の生涯可処分所得が約1億7000万円多くなるとする試算を合わせて公表した。

 PTは矢田稚子首相補佐官(賃金・雇用担当)を座長に4月に発足。2022年7月の女性活躍推進法の省令改正により、従業員301人以上の企業は男女の賃金格差を開示するよう義務付けられており、PTは賃金格差データをもとに、5業界の課題を分析していた。【安部志帆子】

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