去年7月、札幌・すすきののホテルで男性が殺害され、頭部が持ち去られた事件。逮捕・起訴された30歳の娘とその両親のうち、母親の裁判が4日から始まり、本人の証言などから家族の異様な姿が明らかになりました。
■全面否認「娘には何も言えなかった」
母親の田村浩子被告(61)が、娘の瑠奈被告(30)から書かされていたという“誓約書”の内容です。
田村浩子被告
「私は奴れいです」
男性の頭部が見つかった家の中で何が起きていたのか。4日の初公判で、浩子被告は起訴内容を否認しました。
浩子被告
「犯罪を手助けするつもりはありませんでした」
検察によると、両親は娘の犯行を“手助け”したとされています。瑠奈被告は、クラブで知り合った男性とホテルに入り、首を刺して殺害し、頭部をのこぎりで切断したなどとして起訴されました。
父親の修被告(60)は、のこぎりを買い与えたほか、頭部を持ち帰る瑠奈被告を車で迎えに行った罪などに問われています。
遺体発見から逮捕までの約3週間、持ち去られた頭部は自宅の浴室に置かれていました。浩子被告はこの間、頭部を自宅に隠し、瑠奈被告が傷付けることを容認したなどの罪に問われていますが…。
浩子被告
「私が頭部の損壊を知った時、すでに浴室に置かれていました。損壊の計画は知りませんでした。あまりに異質な光景で、娘には何も言えませんでした。とがめることも認めることもできませんでした」
■“娘ファースト”非常に特異な親子関係
弁護側は「周囲から非常に特異と評価される親子関係」と表現しました。瑠奈被告は中学校で不登校になり、18歳のころには引きこもり状態に。昼夜逆転の生活を送っていたといいます。精神が不安定になると、壁を殴って穴を空けるなど怒りが爆発して手が付けられなくなるため、弁護側は「瑠奈被告の言葉を否定することができない状況にあった」と主張しました。
弁護側の主張の狙いは。初公判を傍聴した元検事はこう話します。
元東京地検検事 中村浩士弁護士
「弁護側は、すでに気付いた時には浴室に頭部が置かれていて、あとはどうすることもできなかったと。容認はしていないし、とがめたところでやめてもらえるはずもない従前からの関係だったと」
一方の検察側も、家族の関係をこう指摘しました。
検察側
「家族のなかでは娘の瑠奈被告が圧倒的な上位者であり、わがまま放題に振る舞ってもしかることもせず、文字通り『娘ファースト』の親子関係が形成されていた」
両親は、瑠奈被告が望むものを何でも買い与えていましたが、その所有物に触ることは許されず、あふれた物で自宅内は足の踏み場もない状態だったといいます。そのため、父親の修被告はネットカフェで寝泊まりしていました。今後の裁判で、弁護側は修被告の証人尋問を求めています。
▶「報道ステーション」公式ホームページ
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。