家族の介護や世話に追われる「ヤングケアラー」への支援が課題になっています。当事者はどのような支援を必要としているのでしょうか。探りました。
Q ヤングケアラーという言葉をよく聞くようになったね。どういう意味?
A 政府は「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」と定義しています。
Q 昔はいなかったの?
A 昔からいましたが、世間では「お手伝いをする良い子」という認識で済ませてしまうことが多く、その存在に光が当たっていませんでした。英国では1980年代に存在が知られ、支援策が講じられてきました。日本では2000年代に入って研究が進められ、13年ごろから当事者がメディアや集会で体験を語り始めるようになりました。
Q ヤングケアラーはどれぐらいいるの?
A 政府が21年4月に発表した全国の教育現場に対する初の実態調査では、公立中学2年生の5・7%(約17人に1人)、公立の全日制高校2年生の4・1%(約24人に1人)が「世話をしている家族がいる」と回答。1学級につき1~2人のヤングケアラーがいる可能性が明らかになりました。
Q どんなことに困っているのかな。
A 調査では、ヤングケアラーの1~2割が「宿題や勉強の時間が取れない」「精神的にきつい」などと訴え、睡眠不足や、進路を変更するなどの影響も出ていました。誰にも相談した経験がないとの回答も目立ちました。
Q 国や自治体はどんな支援をしているのかな。
A 相談窓口を整備したり、当事者同士が交流する場を作ったりしていますが、自治体によって差があります。政府は国や自治体が支援に努める対象にヤングケアラーを加える法改正を進め、地域差を解消しようとしています。
回答者・田中裕之(政治部)
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