3日午前6時31分ごろ、石川県能登で震度5強の地震があった。気象庁によると、震源地は石川県能登地方で、震源の深さは約10キロ。地震の規模を示すマグニチュード(M)は5・9と推定される。この地震で珠洲(すず)市内で若干の潮位の変動が観測されたが、津波の被害の心配はないという。
気象庁の原田智史(さとし)・地震津波監視課長は3日午前に開いた記者会見で「少なくとも今後1週間程度は同じくらいの規模の地震が起きる可能性が1割から2割ある。十分注意してほしい」と話した。
石川県津幡町によると、自宅で就寝中だった60代の女性が緊急地震速報に驚きベッドから転落、右足を骨折した。女性は病院に搬送され、命に別条はないという。
能登地方の自治体は情報収集に追われた。輪島市の災害対策本部の午前10時までのまとめでは、中心市街地と周辺で5軒の建物被害が確認された。いずれも元日の地震で全半壊となっていた住家で、今回の地震でさらに崩れ落ちるなどした。5軒は住民が避難生活中のため無人で、けが人などの情報はないという。市街地に近い同市小伊勢町では、崩れた壁材などが国道249号にはみ出るなどして警察官が交通整理に当たった。
志賀町の職員は「北陸電力志賀原発では、現時点で異常がないと聞いている」と説明した。能登町によると、3日午前7時ごろ、内浦総合支所に出勤してきた職員が、天井のパネルの一部が落下しているのを発見した。けが人はいなかった。現在は安全確保のため正面玄関を封鎖し、入所を制限しながら業務を行っているという。担当者は「緊急地震速報にはびくっとした。けが人がいなくて幸いでした」と話している。
鉄道にも一時影響が出た。県の第三セクター「のと鉄道」は穴水駅(穴水町)―七尾駅(七尾市)の全線で一時運転を見合わせた。JR西日本金沢支社によると、地震の影響で北陸新幹線高崎駅(群馬県高崎市)―越前たけふ駅(福井県越前市)で停電が発生したが、午前6時50分に運転を再開した。その他の北陸エリアの各線は正常に運転している。
住民は月曜日の朝に見舞われた大きな揺れに驚いた。石川県輪島市門前町五十洲(いぎす)に住む東栄一さん(74)は、自宅で就寝中に揺れに襲われた。「すぐに隣の部屋で就寝中の妻に『大丈夫か』と声をかけ、水や食料を入れた避難袋を手元に置いた。元日と違って停電がなく、テレビでリアルタイムに情報を確認できたのがありがたかった。SNS(ネット交流サービス)で安否を心配する連絡が多数あり、『大丈夫』と返信した」と話した。
珠洲市飯田町の自宅にいた青木勇さん(75)は「ドンと縦揺れが来た後、15秒ほど横揺れがあった。足の悪い妻とすぐに大通りに逃げた」という。元日の地震で基礎の一部が壊れるなどし「半壊」の自宅で生活を続けているが、「いつ大きな地震が来て家が潰れるかと怖い。もう地震はこりごりだ」と話した。【阿部弘賢、木谷郁佳、東久保逸夫、菅沼舞、千脇康平】
各地の震度は次の通り。
震度5強=石川県輪島市、珠洲市▽震度5弱=石川県能登町▽震度4=石川県七尾市、穴水町、新潟県上越市、長岡市、柏崎市、十日町市、刈羽村
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