鹿児島県警本部=白川徹撮影

 在職中に知り得た職務上の秘密を退職後に漏らしたとして、鹿児島県警は31日、前県警生活安全部長、本田尚志(たかし)容疑者(60)=鹿児島市=を国家公務員法(守秘義務)違反容疑で逮捕した。警察官ら2人の個人情報を第三者に伝えたとみられ、金品の授受は確認されていないという。同県警では4月にも捜査資料を外部に流出させたとして元巡査長が逮捕され、その後起訴されているが、県警は現時点で両者に共謀関係はないとみている。

 逮捕容疑は、本田容疑者が県警を定年退職後の3月下旬、同部長在任中に入手した内部資料を鹿児島市内から第三者に郵送し、読ませたとしている。本田容疑者は2022年3月に同部長に就任し、24年3月25日に退職していた。県警は認否や動機について「捜査に支障がある」として明らかにしていない。

 県警によると、内部資料は複数枚で、現職の警察官1人の氏名▽生年月日▽所属▽階級――と、一般人1人の氏名▽年齢▽性別――などが印字されていた。資料は封書で送られ、差出人の記載はなかった。資料とは別に、警察関係者1人の氏名や連絡先が書かれた紙も入っており、本田容疑者が別人の名をかたって送っていた可能性もある。

 県警を巡っては3月、約100事件分の容疑者や被害者、捜査員の実名、捜査状況などをまとめた資料が外部に流出していたことが発覚。曽於(そお)署地域課に所属していた元巡査長(懲戒免職)が逮捕、起訴されたが、この捜査の過程で本田容疑者の容疑が浮上した。

 本田容疑者は1987年4月に県警に採用され、鹿児島西署長などを歴任した。退職時に警視正から警視長へ昇任しており、警視正以上のため国家公務員として扱われる。

 県警の野川明輝本部長は「極めて遺憾で関係者、県民の皆様に深くおわび申し上げる。事案の全容解明を図り、抜本的で網羅的な対策をしていく」とコメントした。【取違剛】

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