山梨県にある陸上自衛隊の北富士演習場で30日午前9時前、手りゅう弾を投げる“投てき訓練”を実施していたところ、隊員が投げた手りゅう弾の破片が、別の隊員の首に当たり、病院に運ばれましたが、その後、死亡が確認されました。

亡くなったのは、陸上自衛隊第1師団・第1普通科連隊第3中隊所属の山宮拓隊員(29)です。

森下泰臣陸上幕僚長:「このような事案は、武器を扱う組織としては、決してあってはならないものであり、陸上幕僚長として非常に重く受け止めております」

過去に実施された別の部隊による手りゅう弾の投てき訓練の映像を見ると、隊員が手りゅう弾を投げると、すぐに、隊員は安全な場所に身を隠しています。
元陸上自衛隊東部方面総監・渡部悦和氏:「必ず投げた瞬間に、防護した場所に身を隠す。この処置をとらないと、破片が飛んできて、大変な状況」

実際の訓練場の主な配置です。手りゅう弾を投げる“投てき手”と、その指導にあたる“射撃係”が横に並びます。標的までの距離は25メートル以上。さらに、そこから15メートル以上後方に“安全係”を配置。手りゅう弾の爆発後、後方から安全係が確認したうえで、立ち上がるなど、次の動作に進む流れです。

亡くなった山宮隊員は、射撃係でした。

元陸上自衛隊東部方面総監・渡部悦和氏:「一つ考えられるのは、射撃係が、投てきした手りゅう弾を目標付近に行ったかどうか確認する動作をとったために、隠れるのが遅くなった可能性」

森下泰臣陸上幕僚長:「手りゅう弾自体は、目標付近に投てきされて、正常に爆発したと。手りゅう弾自体は正常に作動しているという可能性が高いということ。さらには、故意に誰かが起こしたという事案ではないというのが確認しているところであります」

陸上自衛隊では、今回の事態を受け、安全確認ができるまでの間、すべての実弾射撃訓練の中止を指示。事故調査委員会を立ち上げ、事故原因の究明にあたる方針です。

元陸上自衛隊東部方面総監・渡部悦和氏:「これは本当に非常に残念なこと。事故が起きるときは、さまざまな不安定要素というのが、不安全状態というのがあって、徹底的になくす努力というのを、常に愚直にまで行う必要がある」

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