大分市のIT関連会社「エートラック」は、1人暮らしの高齢者のトイレの使用状況をチェックすることで、孤独死の可能性をいち早く覚知し、家族らに知らせるサービスを始めた。孤独死する高齢者は年間6万人超と推計されるなど問題が深刻化する中、尊厳ある最期を迎えてもらい、発見の遅れによる家族らの負担軽減にも役立てたい考えだ。
サービスは、独居の高齢者宅のトイレに人感センサーを設置し、専用の通信機器を通じて使用状況を確認する。トイレの出入りが24時間以上なければ「異常あり」とみなし、家族や賃貸住宅の管理会社に連絡する仕組み。データは丸紅ネットワークソリューションズ(東京都文京区)のサーバーで管理する。
高齢者の生活状況をチェックし、関係者と情報を共有するサービスは数多くあるものの、多機能化によって故障のリスクが増えたり、維持管理に手間がかかったりするという。このため、今回のサービスは「最悪の事態」を素早く覚知することに特化した。
警察庁の推計では、自宅で孤独死する65歳以上の高齢者の数は年間約6万8000人に上るという。
同社の川上哲也社長は、孤独死は遺体の腐敗が進んでから見つかることが多いため、不動産価値の低下や特殊清掃の手配など、家族や賃貸住宅のオーナーにかかるコストが大きいと指摘。また、遺体の発見者に精神的な負担が及ぶ恐れもあることから「高齢者の中には、死そのものよりも死後の『後始末』を心配する人が少なくない。何かがあれば可能な限り早期に見つけることがとても大切になる」とサービスの意義を強調した。
賃貸住宅の管理会社向けなどに展開している他、個人でも月額3300円で利用できる。問い合わせはエートラック(097・576・7529)。【李英浩】
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