銅板がはぎ取られた樺崎八幡宮本殿の向拝部分(北側)=栃木県足利市教委提供

 栃木県足利市は28日、同市樺崎町の樺崎八幡宮(提箸照之宮司)で、市指定文化財の本殿屋根などの銅板約270枚が盗まれたと発表した。被害総額は約400万円。26日夜から27日朝の犯行とみられる。

 市教委文化課によると、盗まれたのは本殿の屋根に使われていた銅板(縦約14センチ、横約56センチ)約200枚と本殿周りを囲う板塀上部の銅板(縦約14センチ、横約31・5センチ)約70枚。本殿屋根は東向きの入り口の上に張り出した「向拝(こうはい)」という部分が南北両側各約3メートル四方の範囲ではぎ取られていた。向拝以外の屋根も銅板ぶきだが、無事だった。

 八幡宮と同じ敷地内の「樺崎町集落研修センター」で今年1月、屋根の銅板が盗まれる被害があり、足利署がパトロールを強化するなどしていた。26日午後6時ごろ、八幡宮関係者が確認した際には異状がなく、27日午前9時10分、文化課職員らが被害に気付き、通報した。同市教委などが被害部分をシートで覆うなど応急措置を施した。

 八幡宮は国史跡の樺崎寺跡の中にあり、足利義氏が1199年、八幡神を勧請し、同寺や鑁阿(ばんな)寺を創建した父義兼をまつったのが起源とされる。本殿は、尊氏の子孫、喜連川氏が江戸時代に再建し、1986年に市文化財(建造物)に指定された。【太田穣】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。