霧島連山・硫黄山の火山活動の影響とみられる河川の水質悪化により、宮崎県えびの市の一部地域の水田で今季の稲作が困難となっている。市は28日、牛農家向けの粗飼料確保や農地保全の対策費として1133万円を6月補正予算案に盛り込むと発表した。
市によると、硫黄山の噴出物が流入する赤子川で水素イオン濃度が通常より強い酸性を示したため、同川から取水する岡元水利組合は今季取水しないことを決めた。影響が及ぶのは岡元地区を中心とした農家159戸の水田計約66ヘクタールで、その多くが今季の作付けを断念せざるを得ないという。
同市では硫黄山の噴火の影響で2018~20年、地域によって稲作断念を余儀なくされていた。同水利組合の川原澄広組合長(45)は「3年前に作付けを再開したばかりでショックだ。水質改善に向け、より踏み込んだ対策を望む」と話した。
予算案では、稲作を断念して裏作で、または表・裏作とも飼料作物を作った場合に10アール当たり1万5000円の補助金を市が独自に上乗せするなどとしている。市は県にも同様の支援を要望している。
村岡隆明市長は28日の定例記者会見で「農家をしっかり支えるとともに将来的、恒久的な課題解決も考えていかなければならない」と語った。【下薗和仁】
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