東京電力は28日、福島第1原発2号機の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)を試験的に取り出すために開発している最新型の装置を報道陣に初公開した。試験的取り出しは10月までに始まる見通しだ。
装置は製造を担当する三菱重工の事業所のある神戸市兵庫区で公開された。試験的取り出しは、原子炉格納容器に細い伸縮性のパイプを通し、先端に設置した釣りざおのような装置を下部にたまっているデブリに垂らす方法で行われる。今回は格納容器の模型に実際に装置を挿入し、燃料デブリを模した小石を持ち上げる作業の様子を公開した。
パイプから先端の装置までの長さは約22メートル。先端部は2本の爪で挟む方式と金ブラシ方式でこすり取る方式の2タイプを準備しており、どちらを採用するかは今後の検証を経て決める。試験的取り出しでは約2週間で約3グラムの採取を目標とする。
東電の担当者は「試験的取り出しは廃炉作業を進める上で重要な位置づけとなる。安全かつ確実に作業を進めていきたい」と話した。
2011年3月の福島第1原発事故では、1~3号機の原子炉内にあった核燃料が溶け落ちた。燃料デブリの推定量は3基合わせて約880トンにも上る。強い放射線を出すために人が近づけず全容は不明なままで、まず試験的取り出しでデブリの性状などを調べる。【露木陽介】
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