デイサービスを開設した浦川春樹さん=長崎市矢上町で2024年5月17日午後5時46分、川島一起撮影

 脊髄(せきずい)に空洞ができてしびれなどが起きる国指定難病「脊髄空洞症」を経験した浦川春樹さん(42)が5月、自立生活を目指す人のリハビリなどに特化したデイサービス施設を長崎市矢上町に開設した。浦川さんは「自分と同じように、障害で苦しむ人たちを支援していきたい」と話す。【川島一起】

4歳で「側湾症」に

 4歳の時、背骨が湾曲する「突発性側湾症」と診断され、高校卒業まで約15年、矯正器具を着けて過ごした。器具で体を締め付けられるため、痛くて息苦しく、体育座りもできなかった。人目が気になり、恥ずかしかった。

 得意の英語を生かして大学に進み、20歳で矯正器具を外したが、座った時に腰の辺りに火であぶられたような痛みを感じた。家族に打ち明けずにごまかしながら生活したが、大学4年の時に耐えきれなくなって通学を断念した。「障害で何もできない悔しさや歯がゆさを感じた」

 病気のせいで座りながらの仕事はできず、県外で自動車工場の期間工などの立ち仕事をしていた27歳の時、入浴後のストレッチで体が軽くなり、痛みが消えたような感覚を覚えた。自分の体やストレッチについて深く知りたいと考え、28歳で理学療法士の専門学校に入学。32歳で理学療法士となり、臨床経験を積んでシュロスセラピスト(側湾症専門の療法士)の国際認定も受けた。

38歳で発症し手術

 しかし、38歳だった2020年10月ごろ、左手や首に猛烈な痛みやしびれを感じ、脊髄空洞症と診断された。医師からは「手術しなければ歩けなくなる」と告げられ、21年8月に約8時間の手術を受け、成功した。

 「人生は一度きり。思いきりやりたいことをしたい」と、勤務していたデイサービス運営会社を退社。「病気や障害などで当たり前にできていたことができなくなってあきらめている人たちに元気を取り戻してほしい」と、長崎市矢上町に自立支援特化型デイサービス「リハステージ矢上」を開設した。

 施設では浦川さんら理学療法士がリハビリを指導し、住民と交流するカフェなどもある。浦川さんは「年代を問わず、多くの人に利用してもらいたい」と話す。問い合わせは同施設(095・894・1341)。

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