まびふれあい公園で西日本豪雨の被災者と懇談される天皇、皇后両陛下=岡山県倉敷市真備町地区で2024年5月26日午後4時25分(代表撮影)

 天皇、皇后両陛下は26日、2018年7月の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町地区を訪問し、被災者と懇談された。両陛下は浸水した市街地を見渡せる公園を視察した際、犠牲者を悼むため深く頭を下げて黙礼した。両陛下が西日本豪雨の被災地を視察したのは初めて。

 同地区は川の堤防の決壊で約3割にあたる約1200ヘクタールが浸水し、災害関連死を含めて74人が亡くなった。両陛下は災害後に整備され、防災拠点の機能もある「まびふれあい公園」を訪問。伊東香織市長の説明で決壊した場所などを確認し、復興の取り組みを聞いた。天皇陛下は「(復興で)何を大切にして取り組まれましたか」と質問し、皇后雅子さまは「今は何割ぐらいの方が戻ってこられましたか」などと尋ねていた。

 その後、両陛下は自らも被災しながら地域活動に取り組んできた住民3人と懇談した。自宅が大規模半壊した同地区まちづくり推進協議会連絡会会長の高槻素文さん(76)は、祭りの再開に奔走したことを説明。天皇陛下は「何が一番ご苦労されましたか」と声を掛け、雅子さまは「ご自身のおうちが被災されて」と気遣った。

倉敷市真備町地区

 商工会役員の中山正明さん(70)、ボランティア団体代表の中尾幸子さん(75)はいずれも自宅が全壊した。中山さんは被災した約500事業者のうち、約9割が事業を再開したことを伝え、陛下は「大変なご尽力をされたのですね」とねぎらった。中尾さんは被災者の生活相談や交流の機会を作るボランティア活動を続けており、雅子さまは「皆さんどんなことを心配されていましたか」と尋ねていた。

 これに先立ち、両陛下は岡山市のジップアリーナ岡山で開催された全国植樹祭に出席した。天皇陛下は「恵みをもたらす森林を、健全な姿で未来の世代に引き継いでいくことは、私たちに課せられた大切な使命であると考えます」とあいさつした。

 式典の冒頭、両陛下は参加者とともに能登半島地震の犠牲者に黙とうをささげた。陛下は花粉の少ない品種のスギやヒノキなどを、雅子さまは岡山市の木のクロガネモチなどを植樹した。【高島博之】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。