1945年8月9日の原爆投下後の被爆者や遺族の人生に焦点を当てた企画展「ナガサキ―『あの日』からの私」が、長崎市平野町の原爆資料館で開かれている。被爆者や遺族から寄贈された写真や手記、遺品など64点を展示している。入場無料。9月30日まで。
展示品の「再建した自宅の屋根に取り付けた被爆瓦」は、西浦上国民学校3年だった9歳の時に被爆した山田義春さんが寄贈した。山田さんは爆心地から約1・5キロの照円寺近くの川で遊んでいた時に被爆。自身は一命を取り留めたが、姉と弟2人が爆風で倒壊した家の下敷きになって亡くなった。
山田さん一家は、自宅を再建する際に雨露をしのぐため、焼け野原を歩き回って100枚以上の瓦を集めて屋根に取り付けた。企画展では、その一部を展示している。
また、長崎医科大付属医学専門部1年だった藤原元輔さん(当時19歳)の罹(り)災証明書なども展示。爆心地から約500メートルの講堂で被爆し、翌10日に親戚と再会後に取得した証明書には「重傷」と記されている。藤原さんは故郷である五島の久賀島を目指したが、15日に両親の顔を再び見ることなく死亡したという。
同館の後藤杏(きょう)学芸員(26)は「8月9日以降も被爆者や遺族は生活再建の困難さや家族を失った悲しみを抱えて生きてきた。展示から被爆後の彼らの思いを感じてほしい」と話した。【川島一起】
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