イスラエルの報復攻撃で死者が3万5000人を超えたパレスチナ自治区ガザ地区。支援の輪は神奈川県内の女性にも広がる。現地女性の手による伝統柄の刺しゅうを施した帯を締めチャリティー行事に参加したり、攻撃で破壊された病院再建の構想を練ったりと、取り組みはさまざまだ。【和田浩明】
18日に東京都内のワリード・シアム駐日パレスチナ大使公邸で開催されたチャリティー会合。呼びかけたのは、「パレスチナ刺繡(ししゅう)帯プロジェクト」を主宰し、現地女性を支援する山本真希さん(45)だ。
参加した約25人の女性らは、大使からパレスチナの歴史と現状を聞いたほか、山本さんがプロジェクトの背景や見通しを説明した。収益は大使を通じガザに届けるという。
「刺しゅうをしてくれた女性たちの安否は不明。作業施設も破壊された」。厳しい報告に聴衆の表情は硬い。
参加者はみな和服姿で、パレスチナ女性による刺しゅうが施された帯を締めていた。そのうちの1人が葉山町在住の会社経営、湯浅千鶴さん(63)だ。
2017年からパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区で医療支援を行う友人医師とともに現地を訪れ、パレスチナ人医療チームの事務などを手伝ってきた。現地では多数の検問所などで移動の自由を厳しく制限されるパレスチナの人々の様子を目の当たりにした。少しでも支援になればと、山本さんがプロデュースした帯を入手したという。
イスラム組織ハマスの攻撃に対するイスラエル軍の報復で、ガザ地区の主要病院は破壊された。湯浅さんは「友人らと病院は再建したいと考えている」と話した。
横浜市の松浪邦子さん(76)も参加者の一人だ。美しさにひかれてパレスチナ刺しゅうの帯を手に入れた。松浪さんは、日本・アフガニスタン協会の事務局長を務める。
山本さんの取り組みに触発される形で、松浪さんはアフガニスタンへの支援方法を模索する。タリバン支配下のアフガンでは、女性の就労や教育は厳しく制限されており、弱い立場の女性や子どもが苦境にあるのはガザ地区と同様だ。来月にはアフガンの女性を日本に招き、支援について協議する。
取材した女性たちの思いは共通している。「虐げられる人たちのために自分ができることをやりたい」
「パレスチナ刺繍帯プロジェクト」の問い合わせは、info@icejinc.co.jpへ。
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