2025年大阪・関西万博に子どもを無料招待する大阪府の事業を巡り、同府交野(かたの)市は24日、市立の全小中学校が参加を希望しなかったと明らかにした。記者会見で山本景市長は、交通手段の確保や万博会場の安全面に懸念を示し、「学校単位で行く必要はない」と述べた。府は5月末までに府内の学校に意向を確認しているが、自治体単位で参加見合わせが出たことは、波紋を広げそうだ。
市によると、市立の小学校9校と中学校4校に確認したところ、いずれも参加の意向を示さなかった。府の調査には希望しないことを含めて「未定・検討中」と回答したという。
大阪の北東部に位置する交野市は万博会場の大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)まで直線距離で約30キロある。山本市長は会見で、移動に貸し切りバスを使うと子ども1人あたり約5000円の交通費が生じ、市が全額負担した場合には約3000万円が必要となるとの試算を示した。市内の児童・生徒は約6000人で、インバウンド(訪日客)需要の増加も見込まれる万博の会期中に必要なバスを確保できるかも不透明だという。
3月には会場建設現場で地中から発生した可燃性ガスによる爆発事故が起きており、山本市長は「安全確保の観点から大きな懸念がある」とした。府は学校単位で参加できなかった児童・生徒には入場コードを個人配布する方針で、山本市長は「家族で行ける方が会場を自由に見学でき、好ましいのではないか」と話した。また、全ての学校に意向を確認する府の対応についても「踏み絵を踏ませるような行為だ」と批判した。
無料招待は府在住の4歳から高校生と特別支援学校生の計102万人が対象で、学校単位での参加を基本としている。23年8月、吉村洋文知事が「未来社会をつくっていく子どもたちに万博を体験してもらい、夢や将来の目標につながってほしい」と招待を表明した。
府は25年度にかけて入場券の購入費など20億円規模の事業費を見込んでいる。府教育委員会の担当者は「現場の不安を解決できるよう情報を更新していきたい。参加しなかった学校に通う子どもたちには、何らかの形で無料招待ができるように調整したい」としている。【面川美栄、戸田紗友莉】
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