強豪バトントワリングチームの元コーチが男子選手に対し、わいせつな行為をした疑いで逮捕される事件があった。
この事件を巡り、毎日新聞は、日本バトン協会が設置した外部調査委員会による報告書を入手した。元コーチによる重大なセクハラ行為が3回あったと認定。当時の理事長(前理事長)の初動対応を厳しく批判しており、被害者側に聞き取りもせずに解決を図ろうとするなど、数々の問題点を指摘している。
京都府警は4月29日、元コーチの小城桂馬容疑者(40)を強制わいせつ容疑で逮捕した。2023年2月下旬、自宅マンションで、当時高校生だった男子選手(19)の体を押さえつけて体を触ったなどのわいせつ行為をしたとしている。
協会の外部調査委員会は報告書で、小城容疑者について「優越的な地位」を利用し、セクハラ行為に及んだと批判。また、このチームを設立し、バトン界で「神」と称される男性指導者についても「責任者としての自覚や責任感に乏しい」などと言及した。
協会は23年12月、関係者の処分を公表。前理事長を会員資格停止1年、男性指導者を同6カ月とした。小城容疑者は既に協会を退会しており「処分できない」と判断したものの、後に「入会不可」の扱いとした。「ハラスメント相談・通報窓口」も設置した。
ただ、男性指導者は処分後も選手らを指導できる状況にあるといい、実効性には疑問も残る。
一方、男子選手の両親は毎日新聞の取材に応じた。世界の舞台を夢見て競技に打ち込んできた男子選手が今なお、心身に深い傷を負っている現状を訴えた。小城容疑者から被害を受けた直後、男子選手が家族に打ち明けた時の様子などを詳細に証言した。
協会の一連の対応に不信感を抱いており、両親は「他人の子どもを預かっている自覚を持ってほしい」と訴えた。【林田奈々、水谷怜央那】
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