新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行されて1年。未知のウイルスは2020年から流行し、日常を様変わりさせた。その景色は元に戻ったように見えるが、今も後遺症に苦しんでいる人たちもいる。過去に撮影したコロナ下の現場を再び訪ねた。
「どうもありがとうございました。お待たせしちゃってごめんなさいね」
大型連休初日でにぎわう柴又帝釈天(東京都葛飾区)の参道。映画「男はつらいよ」のロケ地にも使われた天ぷら、草団子の店「大和家」で6代目店主、大須賀仁さん(60)の声が響く。
店前には多い時で10人ほどが列をなし、店内を従業員がせわしなく動き回るが、売り上げはコロナ前の3分の1程度という。「以前は途切れることなく客が入り、常に満席だったけど。まだまだ道半ばだね」と話す。
サッカーJ1の試合が行われた三協フロンテア柏スタジアム。ホームの柏レイソルサポーターにレンズを向けると、一喜一憂する姿があった。4年前はほとんどのサポーターがマスク姿で来場。その後も無観客試合や声出し応援の禁止など多くの制限があった。
感染防止策としてよく目にしたフェースシールドや仕切りパネル、ビニール手袋――。「新宿こども囲碁教室」では、それらが撤廃され、子どもたちが真剣なまなざしで碁を打っていた。代表の藤沢一就(かずなり)八段(59)は「子どもは大人の表情を見て成長する部分があると思うので、断然指導しやすくなった」と話す。
桜の名所として知られる目黒川沿いは、春の陽気に誘われ多くの人でにぎわっていた。マスク無しで記念撮影をする人たちの笑顔が、とてもまぶしく映った。【玉城達郎、宮武祐希】
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