リニア中央新幹線のトンネル工事が行われている岐阜県瑞浪市で、井戸などの水位が下がった問題。静岡県の川勝前知事が口を開きました。

■川勝前知事が取材陣にコメント

 16日、静岡県庁を訪れた川勝前知事。記者からこんな質問が…。

前静岡県知事 川勝平太氏
「(Q.リニア問題に関して岐阜で水枯れの問題があったがどう感じたか、岐阜の水枯れの問題で一言いただけませんか?)生態系の有識者会議ではどの沢、渓流も水位が下がっていると言っている。その一事例が岐阜じゃないでしょうか。はい、ごめんなさい」

■ため池&「天王様の井戸」ピンチ

 水を巡って問題が起きているのは、岐阜県の山あいにある瑞浪市です。

 6日、水は完全に干上がりました。池の底はひび割れ、剥き出しになっています。現在は水が張っているものの、普段より少ないといいます。

 さらに…。

住民
「これ天王様の井戸。この地区の人には非常に大切なもの」

 江戸時代から生活用水に使われている井戸は…。無残にも枯れてしまいました。

住民
「江戸時代から枯れたなんて聞いてない」

 多くの住民は飲み水や洗濯などを井戸水に頼っています。こちらの男性は、3月下旬ごろから急に井戸水が減り始め、やむを得ず水道水に切り替えました。

住民
「(Q.徐々になくなっていった?)一気になくならないが1週間くらいで。うちの場合は水が切れたんだけど水道が使えるので」

■14カ所で異変 工事は一時中断

 原因とみられるのがリニア中央新幹線のトンネル掘削工事です。

 JR東海は異変が起きたため池や井戸など32カ所を調査しました。すると、そのうちの14カ所で水位が下がっていることが分かったのです。

JR東海 丹羽俊介社長
「地域にお住まいの皆様には大変なご心配とご迷惑をお掛けしているところでございます。周辺でこの本工事以外に地下水に影響するような工事が行われていないことから、(リニアの)工事による影響の可能性が高い」

 JR東海はリニア新幹線の工事をいったん中断することを決めました。

 工事現場の2つの区間で確認された湧水は今も毎秒20リットル出続けているといいます。

 こうした状況に、農家は…。

米農家 小栗啓輔さん(45)
「不安。不安しかない」

 米作りが盛んな瑞浪市。収穫したコメが大嘗祭(だいじょうさい)に奉納されたこともあります。

 16日から田植えが始まったそうですが、すでに異変が起きているといいます。

小栗啓輔さん
「いつもの感覚で水をためていると田植えの前にここまで水が引くというのは少し早すぎる感じはする」

■隣町 残土受け入れ協議を中断

 影響は瑞浪市に隣接する御嵩町でも…。

 町はトンネル工事で出た残土の処理場の候補地ですが、受け入れの協議を一時中断するとJR東海に通知しました。

御嵩町企画部 田中克典部長
「瑞浪市の事案が起き、住民の不安感が出てくるだろうと。そこを払拭したうえで丁寧な協議に臨むべきだと考えた」

 御嵩町でも今後、リニアの工事が行われるため他人事ではないといいます。

住民
「いっぺんおいて、瑞浪市を見てからでいいのでは」

 JR東海は今後、地質や湧水の状況を詳しく調査。また、井戸水などの水位が下がった瑞浪市への対応も発表しました。

JR東海 丹羽俊介社長
「応急措置として上水道を利用してもらうための工事を順次実施している。代替の水源として新しい井戸を数日以内に掘り始める予定」

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