衆議院の補欠選挙で演説妨害をしたとして、「つばさの党」の代表ら3人が逮捕されました。警視庁が選挙違反事件で特別捜査本部を設置するのは極めて異例です。

■“笑顔でピース” 選挙妨害の疑い

 選挙中、他の候補の前で太鼓をたたくのは「つばさの党」の黒川敦彦代表(45)です。17日、逮捕されました。カメラに向かって両手で“ダブルピース”。白い歯が見えます。

 他の候補者の選挙演説中、目の前の電話ボックスに乗って拡声器で大声を出す。先月の衆議院東京15区の補欠選挙で他の候補者の演説中に拡声器で演説を妨害したなどの公職選挙法違反の疑いで17日、警視庁は「つばさの党」の黒川代表ら3人を逮捕しました。

 逮捕された根本良輔幹事長(29)。先月の選挙では候補者でした。

 根本容疑者も17日、笑顔で手を振り、警視庁に入りました。

 つばさの党を巡っては、これまで警視庁に複数の陣営から相談が寄せられていました。

 「つばさの党」は、あくまで有権者が聞きたい質問を自分たちが候補者に投げ掛けているというスタンスです。

日本維新の会 金澤結衣候補(当時)
「この状況でどうやって議論するの。演説中なんですよ」

「つばさの党」幹事長 根本良輔容疑者
「おい答えられる?酒井さん。おい、答えろよ」

 警察が止めに入りますが。

警察
「危険な行為はやめて下さい」

 こうした事態に他の陣営は。

立憲民主党の陣営
「青を脱いで下さい、『つばさ』が来ているので」

 そろいのジャンパーを脱ぎ、「つばさの党」の選挙カーが過ぎ去ったのを確認してから再び演説の準備を始めました。

 13日に党本部などが家宅捜索された際、黒川代表はこう話していました。

「つばさの党」代表 黒川敦彦容疑者
「我々の行動が選挙妨害になった判例、及び法的事実はないので、我々は表現の自由のなかでやっていると理解しています」

■異例の捜査態勢 ポイントは?

 では、警視庁が逮捕に踏み切ったポイントはどこにあったのでしょうか。

若狭勝弁護士
「警視庁は今回の逮捕にみられるようにかなりの本気度があると。これまでの選挙の自由妨害罪ということで暴力を振るっていればそれは簡単に検挙できたが、それ以外の場合というのが例としてはそれほどない」

 公選法では「選挙の自由妨害罪」にあたる行為は、候補者らに暴行や威力を加えた時や演説を妨害し、選挙の自由を妨害した時などと定められています。

若狭勝弁護士
「演説が聞くことが困難であるくらいの音量と継続性が一つの大きなポイント。ひっきりなし、手あたり次第、しかも長時間わたって、あるいは電話ボックスの上に乗ってとか、かなり逸脱しているということで、そうした悪質性が深まっている、上回っているということが警視庁の今回の逮捕というように判断のベースにあると思う」

 選挙の自由妨害罪の法定刑は4年以下の懲役、もしくは禁錮、または100万円以下の罰金です。

 警視庁は特別捜査本部を設置するなど、極めて異例の態勢で捜査にあたっています。

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