広島県尾道市の因島と向島の間の布刈瀬戸を航行する船舶の安全を見守ってきた大浜埼(おおはまさき)灯台と周辺施設(尾道市因島大浜町)が、「旧大浜埼通航潮流信号所施設」として国重要文化財に指定されることが決まった。国の文化審議会が17日、文部科学相に答申した。灯台などの重文指定は県内初。
大浜埼灯台は高さ9・3メートルの石造りの白い灯台。瀬戸内しまなみ海道(尾道市~愛媛県今治市)にある架橋の一つ、因島大橋(長さ1270メートル)の因島側の北側たもとに位置する。周辺は因島大橋記念公園として整備され、灯台と橋、青い海と島々の美しい景色を眺めにサイクリストや観光客らが訪れる。
指定対象は、灯台と通航信号塔、昼間潮流信号機、検潮器浪除(なみよけ)塔。
大浜埼灯台は1894(明治27)年、広島県三原市沖を東西に抜ける三原瀬戸の航路沿い8カ所に設置された灯台の一つ。1910(明治43)年、航行する船舶に往来方向や潮流を知らせる通航信号塔や昼間潮流信号機が設置され、灯台としての機能はなくなった。54(昭和29)年に信号塔と信号機が廃止されると、灯台業務を再開。59年(昭和34)年に灯台は自動化され、現在まで無人運用で稼働している。
通航信号塔は木造平屋。3基の三角屋根の塔屋があり、塔屋に記号を表示して船舶に知らせた。現存する木造通航信号塔は国内でここだけ。内部に信号機器がそのまま残っている点も高く評価された。
尾道市内の国指定文化財は60件目。【関東晋慈】
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