若戸大橋=北九州市戸畑区で2021年11月18日、青木絵美撮影

 北九州市は、戸畑区と若松区を結ぶ若戸大橋(長さ627メートル)の過去最大規模となる塗り替えに着手した。塗装は金属の外観維持や腐食防止など安全性の確保や老朽化対策に重要な役割があり、2032年度までに約90億円をかけて実施し、長寿命化を目指す。

 若戸大橋は1962年9月に開通した。過去6回、古い塗装の上に重ね塗る方法で維持管理されてきたが、塗膜の厚みが増すと表面のひび割れや剥離が生じやすくなる。このため今回は塗膜を全てはがして再塗装することで、さらに30年程度維持できると見込む。

 塗り替えは、橋りょう本体など約1キロが対象。24年度は戸畑区側の床板から始め、25年度に本格化。主塔やケーブルは30~32年度に実施する。工事による全面通行止めは生じない見込み。

 若戸大橋の計画的な維持管理を巡っては14年度に年間約5億円が必要と試算したが、23年度まで毎年2億円程度の予算に留まり、塗り替えは9年間実施されていない。

 近年は老朽化が進み、23年5月には配水管を鉄骨に固定する金属部品(縦約40センチ、横約10センチ、重さ約1キロ)が、約25メートルの高さから市道に落下した。これらを受けて市は「老朽化対策チーム」を設置。公共施設の点検、維持管理を強化する方針を打ち出した。

 市道路維持課は「次世代のために老朽化対策に予算を充てる。公共施設を長く、安心安全に使えるよう取り組んでいく」としている。【山下智恵】

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