何となくテレビをつけていると、ふと流れてきて、そのままぼんやり見続けてしまう…。そんな流れで目にすることが多い通販番組。いわゆるテレビショッピングだ。見ようと思っていなくても、結果的に見入ってしまった経験のある人は多いだろう。

ネットショッピングが浸透し、通販サイトで購入することを「ポチる」と表現することはもはや日常。しかし半世紀ほど前、テレビで紹介された商品を自宅にいながら買えるという番組は、どんなに新鮮に受け止められたことだろう。今では番組やCM形式のほか、「ショップチャンネル」や「QVC」といった専門チャンネルなどさまざまな放送がある。

ファッションはもちろん、食品や健康グッズ、電化製品、キッチン用品など商品はバラエティー豊か。スタジオで照明を浴び、語彙力フル回転で紹介する出演者たち。商品の説明とともに「これはお得」などと薦められると気持ちも揺らぐ。商品の実演もショーを見ているかのようだ。

深夜まで仕事した後、自宅でボーっとテレビショッピングを眺めることをなぜか日課にしていた時期がある。それがいつしか、多忙な日常の中で、「はやりもの」を知る重要な手段の一つになった。流行の洋服の色や形、コーディネート、最新の家電情報も番組で収集。わが家で活躍している「お掃除ロボット」の存在を初めて認識したのもテレビショッピングだった。

一方で、実際に商品を手にせずに購入する通販だからこそ、気を付けたいこともある。外出を控えるなどの新型コロナウイルス禍には、トラブルの件数も増えていたようだ。

国民生活センターによると、令和4年度のテレビショッピングに関する相談は1万1488件で平成26年度の倍以上。「初回は安かったのに2回目以降は高くなり、解約できない」といった、健康食品の定期購入を巡る相談が目立つそう。「返品可能・不可」などと表示される番組も多いが、同センター担当者は「表示が小さいなどのケースもある。購入を申し込む際、契約条件を事前にきちんと確認してほしい」と警鐘を鳴らす。

テレビという媒体への安心感や映像の華やかさ、時には有名人の出演に、つい興味を持ってしまうが、お買い物は慎重に。(陽)

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