節目の公演で「連獅子」などを踊る藤間直三(右)と花柳貴伊那(飯塚友子撮影)

東京芸大出身の20~30代の邦楽演奏家、日本舞踊家で作る集団「蒼天」が4月26日午後6時半から、日本橋公会堂(東京都中央区)で第5回公演を行う。出演する藤間直三は3月、若手舞踊家対象の「日本舞踊新鋭賞」を受賞したばかり。勢いに乗り今回、花柳貴伊那(きいな)と大曲「連獅子」に挑戦するほか、イソップ寓話を舞踊化した創作「王様の耳はロバの耳」も披露する。

「若手集団の『蒼天』だからこそ、妥協なく、やり過ぎといわれる熱量の舞台を目指したい」。今年1、2月も米国公演に出演した直三は今、踊る喜びに満ちている。もともと「蒼天」は令和2年、新型コロナウイルス禍で公演機会を失った危機感から、同窓の若手と結成した。同年7月の第1回公演は無観客の映像配信だったが、翌年3月の第2回公演以降、観客の前で古典と新作を発表できるのが、何よりうれしいと笑顔を見せる。

未来の伝統芸能を担う若手舞踊家や邦楽演奏家が活躍する舞台(蒼天提供)
「王様の耳はロバの耳」に出演する藤間直三(右)と花柳貴伊那(蒼天提供)

過去にミュージカル化されたこともある「王様-」は、直三振り付けで4年に初演。音楽の神様の争いを邦楽に置き換え、直三がロバの耳が生えた王様、貴伊那が理髪師を、それぞれ日本舞踊の技法で面白おかしく演じる。貴伊那は歌舞伎の人間国宝、坂東玉三郎の舞踊公演に出演経験があり、東京芸大を首席で卒業するなど、期待の女性舞踊家。「再演で演出も変化し、出演者も増え、日本舞踊になじみのない方にもずっと分かりやすくなった」と作品の進歩に自信をみせる。

一方、「連獅子」では親獅子を直三、子獅子を貴伊那が担う。白と赤の長い毛を豪快に振る〝毛振り〟で知られる大曲は。歌舞伎でも人気演目だが、今回は「演奏家も主役」(直三)との考えから、通常の舞踊ではカットされる曲を生かした構成で上演する。

男女の舞踊家が親子を演じる「連獅子」は珍しい。だが、32歳の直三が「節目にふさわしい大曲で、若さと熱量で成長を示したい。そして同世代の観客に、古典の面白さを感じてほしい」と表情を引き締めると、6年後輩の貴伊那も「長い毛を付けるのも初めて。(直三との)技術差、体力差をお稽古でカバーしたい」と〝親〟に食らいついた。

これら2演目の間に「供奴」の演奏あり。入場料4000円。問い合わせは「蒼天」(https://linktr.ee/souten)。

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