オラウータンの子どもは愛嬌たっぷり

「世界三大カレー」といえば、インド・タイ・日本というのが定番のようですが、日本を除くとスマトラカレーが入ってくるのではないかと思います(独断気味ですが)。

東京・神田神保町に大正13年創業というスマトラカレーの店があるのですが、ここは明治時代にアジアを探検した日本人からスマトラ島のカレーの作り方を教わり、創業当時つまり100年前から出しているそうです。小麦粉を使わない、独特の濃褐色のサラッとしたソースで学生時代はよく食べました。

今年、番組「世界遺産」でスマトラ島の撮影をしたのですが、撮影スタッフもスマトラでカレーを食したとのことです。このときに取材した世界遺産は「スマトラ島の熱帯雨林」で、オランウータンの滅多に見ることが出来ない生態の撮影に成功しました。

メスのオランウータンがオスのお尻にタッチ

そのひとつが、発情期のメスがオスに猛アタックするところ。森の中をメスがオスを追いかけていき、後ろからお尻をなでちゃったりして、妙にエロいシーンが撮れてしまいました。

母オランウータンが「橋」となって子どもを木から木へ渡すところ

またオランウータンは7歳くらいになるまで母親が面倒を見て育てるのですが、木から木に移動するときに、母親が手足をいっぱいに伸ばして自らの身体を「即席の橋」にして、そこを子どもが渡っていく…という思わず「ヘーッ!」という場面も撮影できました。

樹上でおしっこするオランウータンの子ども

オランウータンの子どもは目がつぶらで、樹上でおしっこしたりするシーンですら愛嬌たっぷり。観ていて飽きがありません。

スマトラカレーを食べながら、面白いオランウータンの映像を見る…なんてことができれば、かなり楽しい時間になると思います。

まるで神殿!地下の巨大井戸

インドの世界遺産「女王の階段井戸」

インドカレーも、「女王の階段井戸」というインドの世界遺産を取り上げた放送回で紹介したことがあります。

深さ30メートルもある階段状の巨大な井戸

この世界遺産はグジャラート州にある深さ30メートルもある巨大な階段状の井戸で、1000年前にこの地を治めた女王が作らせたことから、こんな名前が付きました。

壁面には神々の彫刻が施され、まるで神殿のような壮大さ。グジャラート州には、こうした階段井戸が100以上もあるのですが、それらを代表するのが「女王の階段井戸」なのです。

6種類がセットになったインドカレーの定食

このときに紹介したのが、グジャラート州で主に食べられているベジタリアンカレー。専門店を取材したところ、6種類のカレーが楽しめるセットが人気でした。

先日、インドで開催された世界遺産委員会の取材でニューデリーに出張したのですが、このとき見たインドの人たちも豆などの野菜のカレーばかり好んで食べていました。豆のカレーと「女王の階段井戸」というのも、良い組み合わせだと思います。

さまざまな地域からやってきた動物たちが暮らす「野生動物の交差点」

タイの世界遺産「トゥンヤイ・ファイカケン野生生物保護区」

最後にタイカレー。タイの自然遺産「トゥンヤイ・ファイカケン野生生物保護区」は、ミャンマーとの国境地帯にある、東南アジア最大級の野生生物の保護区です。

広さは東京都の2.7倍。ヒマラヤ、中国、東南アジア、インドなどさまざまな地域からやってきた動物たちが暮らしていて、「野生動物の交差点」とも呼ばれます。ここも番組で撮影し、珍しいジャコウネコや、ヤマアラシ、クロオオリスなどの撮影に成功しました。

ジャコウネコ

ジャングルには竹林も多く、撮影に行ったのはちょうどタケノコが採れるシーズン。動物もタケノコをよく食べるので、人と動物の取り合いになるそうです。その旬のタケノコとチキンを使ったカレー、地元でも人気のタイカレーとして紹介しました。タイカレー特有のココナッツとタケノコは相性も良く、こちらもなかなか美味なカレーです。

タケノコを使ったタイカレー

スマトラカレー、インドカレー、タイカレー…世界遺産となぜかよく合う各国のカレー。それぞれのカレーが含むスパイスの刺激が、知的好奇心を刺激する世界遺産との相性が良いのかもしれません。

執筆者:TBSテレビ「世界遺産」プロデューサー 堤 慶太

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