人気アニメ・『超電磁ロボ コン・バトラーV』の葵豹馬役や、『タッチ』の上杉達也役で知られる、声優の三ツ矢雄二さん(69)が、自伝的エッセイと書き下ろしの詞(うた)を収録したエッセイ本「曲のない詞(うた)」を発売。TBSの単独インタビューに答えました。



三ツ矢雄二さん




――エッセイを書き始めたきっかけは?

★三ツ矢さん:
「今年で70になるんですけど、70になる人生を振り返ってみて、こんなことがあったんだ、あんなことがあったんだってことを書いてみようと思ってエッセイを書き始めたんです。」

――本には子ども時代のことも書かれていますが、改めてどんな幼少期を過ごされましたか?

★三ツ矢さん:
「両親に聞いたところによると、陽気な子だったと。いつも歌ったり踊ったりしてたと。昔から好きだったみたいです。」
「(小学校では)先生が可愛がってくれて『三ツ矢君の歌い方はオペラ向きだよね』って言われて、たまたま名古屋でちびっ子のど自慢に出てみようと思ったら予選に受かっちゃって、初代グランドチャンピオンになって、『歌向いているかも』ってなって、小学校の時は歌をすごく頑張っていました。」

三ツ矢雄二さん




歌に力を注ぐ一方で、三ツ矢さんは小学生時代に初めての恋をします。
そして、この恋で初めて、三ツ矢さんは"自分自身"を意識することになったと話します。

★三ツ矢さん:
「合唱部に入ったぐらいから『あれ、自分は人とちょっと違うな』と思ってて、どっちかというと、女の子とばっかり遊んでいて、それで、「おとこおんな」って言われていたんですけども、やっぱ好きになるっていうか、憧れる対象も男子だなっていうんで、ちょっとみんなとは違う自分を感じていたんですけども。
ある時、合唱部のリーダーをやっていた小学校6年生の男子が、『三ツ矢くん、【ぶどうパン】あげるからちょっと教室で待っててくれる?』って言われて『え、なんだろう?』と思って。ドキドキもんで教室で待っていたら、先輩が『三ツ矢君くん、この【ぶどうパン】あげるから、 だからキスしていい?』って言われたんですよ。
『えっ』と思って、別に【ぶどうパン】が欲しかったわけじゃないんですけども、憧れの先輩じゃないですか・・・初めて胸がときめいたというか、その先輩に対して、『好きなんだ』って思って。それが言ってみれば初恋ですかね。」

三ツ矢雄二さん(小学生時代)




"自分自身"についての自覚が芽生えた思春期。しかし、そこには戸惑いはなかったと、三ツ矢さんは言います。


★三ツ矢さん:
「私には、自分がゲイであるという葛藤が思春期にありませんでした」
「中学生の頃に女の子から付き合ってほしいって言われたことがあるんですよ。その時に自分は男の人が(恋愛)対象だから、 この女の人と付き合うと、『世間体はごまかせるかもしれないけど、それは嘘をつくことだし、相手の女の子に悪いな』と、思って断ったんですね。その断った時も、はっきり『自分は女の人よりも男の人が好きなんだな』ってことを自覚したので、自分の中でゲイであるっていう、自覚が目覚めてきたみたいなところは、小中学校ではありました。」

三ツ矢雄二さん(中学生時代)




中学・高校と、児童劇団に所属し活躍をしていた三ツ矢さん。
しかし、あることが原因で、俳優の道を断念することになります。

★三ツ矢さん:
「18歳になってオーディションに行くと、もう大人の役なんですよね。僕の身長は160センチないんですよ。主役の女優さんよりも背が低いとか、やっぱりちょっと『子どもに見えちゃうね』ってオーディションに合格しなくなっちゃったんですよ。」

三ツ矢雄二さん(高校生時代)




――俳優の道を諦めて、演出や脚本の道を目指した?

★三ツ矢さん:
「(専門学校に)いざ入ってみたら、何も(人生)経験ないじゃないですか。僕、子役やっていて、学校も割と行けてなかったんで、人間関係で悩むことも、そんなに無かったんですよね。陳腐な恋愛ものしか書けなくて…だめだな、これはと思って…。」

経験不足を感じた三ツ矢さんは、人生経験を積むために大学へ通うことになります

★三ツ矢さん:
「大学に入ろう! 4年間は”執行猶予”で、この間に色々経験を積んで、色んな人とお付き合いをして、自分の中の『引き出しを増やしていこう』って思ったのが二十歳でした」「大学の時に出会った人と、初めて恋愛関係になったというか、僕にとってその人が、『初めてお付き合いをする人』だった。とにかく優しい、大人しくて優しい人でしたねえ。」

三ツ矢雄二さん(大学生時代)




三ツ矢さんにとって、初めての恋人。お相手は2年先輩でした。
そして12年間の同棲生活がはじまります。声優の仕事現場にも、よく同行したそうで・・・

★三ツ矢さん:
「必然的に周りの声優仲間から『彼は誰だ?』と疑問を持たれ、私は正直に『彼(恋人)だよ』と告白していました。事実上のカミングアウトですね。」

三ツ矢雄二さん




声優として成功し、私生活でも大恋愛。
しかし、順風満帆だった時期も終わりを迎えます

★三ツ矢さん:
「だんだん付き合っていくうちに、相手がね、僕のこと嫌になったんだと思うんですよね。僕もその頃は、声優としてすごく人気が出てきちゃって。『声優界のスターになろう』みたいな気持ちがあったりして。仕事断らないで、仕事がまずメインだった。彼のことは二の次だったんですよ。」
「その辺りぐらいから。向こうも何となく『距離感』を感じていたんじゃないかなと思って。そんな時に向こうが、『実は自分のおばあちゃんが【お前の結婚式を見てから死にたい】って言ってるんだよね』ってこと言われて、『う~ん』と思ったんだけど、 こんなに優しくしてくれた彼だから、彼には幸せになってもらいたいなと思ったんで、『まあいいよ、幸せになって』っていう形でお別れしたんですけど、僕にとってはすごい愛情豊かな青春時代だったなって思ってます。」

三ツ矢雄二さん




そして、時は流れて2017年。三ツ矢さん63歳。
出演したテレビ番組でカミングアウトし、大きな反響を呼びました。

★三ツ矢さん:
「僕、隠しちゃいないんですよ。全然、隠していないし、別に【改めてカミングアウトする必要無いじゃないか】と思っていて。」
「うちの兄弟いるんですけど、兄がもう会社を定年退職で終わっているし、そんなに『迷惑を掛けることも無いかな』と思ったし、もういい年齢だったんで『もう良いかなあ』と思って。」
「そこでテレビの前で『はい、ゲイでございます』ってカミングアウトしたんですけど、自分にしてみれば『今更!?』みたいな。声優仲間もみんな「なんで今更?営業のひとつ?』って言われたから(笑)」

三ツ矢雄二さん




常に明るく、何事にも前向きな姿勢を貫く三ツ矢さん。

――今後の目標は?

★三ツ矢さん:
「キャピキャピした『おじいさん』になりたい。年は『記号』だと思ってるので、『70歳』という『記号』になりましたと。でも、人それぞれその『記号のあり方』は違うと思うんで、『僕の記号はこうです』みたいな。そこで、若さみたいなものを忘れないようにしていきたいなとは思っています。」
「初詣の時のお参りが毎年『今年も老けませんように』って、それ一つなんですよ。お願いで。なるべく老けないように、『若々しく過ごしていけたら良いな』って思ってます。」

三ツ矢雄二さん




様々な人生経験を経て、レジェンド声優としての地位を確立していった三ツ矢さん。
声優・三ツ矢雄二さんの知られざるエピソードは、インタビュー第2弾[【三ツ矢雄二】独占②:「コン・バトラーV」での声優デビュー~「タッチ」収録秘話 浅倉南役・日髙のり子さんとのエピソードを語る]でお届けします。

【担当:芸能情報ステーション】

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