現在、放送中のNHK連続テレビ小説「虎に翼」で、伊藤沙莉さん演じるヒロイン寅子のモデルは、日本初の女性弁護士の一人、三淵嘉子(1914~84年)。三淵は戦前、日本の女性法曹養成のさきがけだった明治大学専門部女子部(昭和4年開校)の出身だ。放送に合わせ、三淵の母校である明大博物館(東京都千代田区)で、ドラマと女子部をテーマにした特別展示が3月末から開催されている。
女性法曹養成機関のさきがけ
特別展示室で同時に行われているのは、「虎に翼」展(NHK財団主催)と、ドラマの背景となる史実をたどる「女性法曹養成機関のパイオニア 明治大学法学部と女子部」展(同大資料センター主催)。
「虎に翼」展は、撮影で使用された衣装やセットの一部、出演俳優のパネルが並び、来場者の撮影スポットとなっているほか、ドラマの人物相関図や撮影風景写真も展示されている。物語の展開に合わせ、展示の入れ替えも今後行われる予定。ドラマが好評なこともあり、「問い合わせが増え、先週末は約500人以上来場した」(同博物館)という。
一方の「女子部」展は、三淵はじめ日本初の女性弁護士を生んだ明大専門部女子部法科の歴史や、卒業生らの活躍を紹介する。戦前、女性が学べる高等教育機関が限られた中、日本初の女性法曹育成を目指した3年制の女子部が昭和4年に開校。8年の弁護士法改正で、女性も弁護士を目指せるようになった。三淵も4期生として女子部で学び、卒業後、明大法学部に編入。13年、同窓の中田正子、久米愛とともに高等文官試験司法科に合格し、日本初の女性弁護士としてそれぞれ道を切り開いた。その後も女性弁護士の多くが、明大出身者で占められた。
「男尊女卑の旧習打破」
展示では、女子部制帽や学校看板のほか、コートを着て学ぶ女子学生など、当時の様子を写真で伝えている。学生証や校舎設計図もあり、教室脇に女性用の個室トイレが並ぶなど、女子学生が学習に集中できる環境を提供していた当時の様子が分かる。
また、女子部開校に尽力した、横田秀雄学長(当時)の開校式における挨拶も展示している。設立目的は「男尊女卑の旧習を打破し、女子の人格を尊重し、その法律上、社会上の地位を改善して之を向上せしむる」と先進的かつ高邁な理想を掲げていた。
明治大史資料センターの古俣達郎さんは、「ドラマを入り口に、明大から女性初の弁護士や裁判官が生まれ、女性の社会的地位向上に貢献した歴史を知ってほしい」と話している。(飯塚友子)
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展示は10月28日まで(日曜祝日、夏季休業期間の土曜は休館)。観覧無料。問い合わせは同館(03・3296・4448)。
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