飲食店にて朝限定で販売されるメニュー、通称「モーニング」。発祥は喫茶店と言われていますが、現在はファストフードに牛丼チェーンにファミリーレストラン。カフェに焼き肉に立ち食い蕎麦にドーナツショップなど、さまざまな飲食チェーンが参入しています。
集客の弱い時間帯である午前中の売り上げを強化すべく、朝の数時間だけ提供される限定メニューの数々は、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。
今回は「モーニング」発祥の地と言われている名古屋に本拠地を置く、「コメダ珈琲店」が手がけた、プラントベース(植物由来)のメニューのみを取り扱う店舗「コメダイズ(KOMEDA is □)」の、朝限定メニューをご紹介します。
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日本に1店舗だけ、100%植物由来ヴィーガン対応のカフェ
店舗の入り口。ざっくり積まれた古びたレンガに蔦がからまったような装飾がされています(筆者撮影)「コメダイズ」は、「コメダ珈琲店」のメニューをプラントベース(植物由来)にした喫茶店です。
誕生は2020年。オリジナルバーガーのパテは大豆由来、シロノワールのソフトクリームにはアーモンドミルクで代用するなど、コメダの看板メニューもすべて植物由来の原料で再現されています。
コメダイズならではの店舗デザインにも注目
「KOMEDA is □」の□は、公式サイトによると「その□に、あなただったらどんな言葉が入りますか? relaxing. delicious. creative. comfortable...コメダは、□に入る新しい魅力をどんどんつくっていきたい。くつろぎの幅をもっと広げていきたい。そんな思いから、KOMEDA is □は生まれました」という想いが込められているそう。
入り口入ってすぐに目に入るのは、古材でできた店のシンボルツリー(筆者撮影)銀座と築地の真ん中あたり、歌舞伎座を少し下がった東銀座の表通りに面した店舗の入り口には、荷役台として使われた古材でできたシンボルツリーがドーン。
コメダのシンボルのようなおなじみの赤いベンチソファは、緑色に変身。都心のど真ん中で森に迷い込んだような内装は、明確なコンセプトを感じさせますし、純粋にワクワクするような空間に仕上がっています。
コメダの通常店舗でおなじみの赤いベルベットのベンチシートも、緑色にチェンジ(筆者撮影)ドリンクオーダーでトースト無料、おなじみコメダのモーニングサービス
「コメダイズ」の朝メニューの提供時間は、開店時間の朝7時から11時まで。「コメダ珈琲店」と同じく、ドリンクオーダーでトーストとトッピングが無料でついてくるというモーニングサービスです。
11時までの朝メニュー(筆者撮影)トーストは、ハーフサイズながら厚切りでボリューミーな山食パン。トッピングは以下の4種類から選べます。
・ジャム・小倉あん
・豆乳クリームチーズ
・ミネストローネ
ドリンクはコーヒー・紅茶だけでなく全種類から選べるので、コーヒーフロートやスムージー、コーンスープなどもセットにできます。
ドリンク価格は税込700円〜850円と、コメダの通常店舗より少しお高め。「コメダブレンド」「紅茶(ダージリン)」など定番ドリンクは税込700円、「オーツオーレフロート アーモンドソフトクリーム」「ジェリコアーモンドミルク」などスイーツ系が税込850円。
ただし、店舗の立地を考えると妥当な価格だと感じました。コメダも、立地によって価格は異なりますからね。
コメダイズのコメダブレンドモーニングセット 700円(筆者撮影)「コメダブレンド」のモーニングセット。トッピングは豆乳クリームチーズをチョイスしました。
トーストにはバターの代用として、ぬる豆乳を使っているそうですが、見た目の上では「コメダ珈琲店」のモーニングが完全再現されています。
こちらはコメダ珈琲店のモーニングサービス(筆者撮影)バターもクリームチーズも豆乳由来、でもおいしい
トーストにはすでにぬる豆乳が染み込んでいましたが、噛むとパンからジュワッと染み出すバターやマーガリン特有のあの食感は完全再現されていました。
そこそこのコメダファンを自負する筆者ではありますが、わかって食べても「豆乳と言われてみればそんな気もする」という程度で、言われなければ気づかないレベルです。
豆乳クリームチーズ。質感はクリームチーズにかなり近いが味は淡白であっさり(筆者撮影)トッピングの豆乳クリームチーズは、スプーンですくった時点ではまさにクリームチーズ。しっとりと柔らかな食感も似ています。味のほうはクリームチーズ風ではあるものの、豆乳のうま味もしっかり感じます。
ハーフサイズながら、厚切りでボリュームたっぷりのトースト。ふわふわ食感が人気です(筆者撮影)水切りヨーグルトを食べるとヨーグルトのうま味が凝縮されておいしいように、クリーム状の豆乳も美味です。4枚切り食パンよりも厚みがあるという、コメダの食パンにたっぷりと塗って食べれば、大満足。
山食パンもプラントベースということなのですが、違いはわからず。いつか本家のコメダの食パンと食べ比べてみたいです。
オリジナルのコーヒーカップが高級感を演出
コメダイズのコーヒーカップ。緑色で店名ロゴが入ったオリジナルカップです(筆者撮影)唯一コメダと明らかに違う点が、コーヒーカップ。「コメダ珈琲店」のぽってりと厚みのあるマグカップと比べ、「コメダイズ」は華奢なカップが採用され、高級感を感じさせます。
「コメダブレンド」は深煎りで濃厚なしっかりした味わい。公式サイトには「アラビカ種100%のサステナブルなコーヒー」と記載されています。
個人的には「コメダのコーヒーは濃いので、砂糖とコーヒーフレッシュを入れて飲むのがベストバランス」と思っているのですが、こちらもコメダらしい力強いコーヒーでした。
優しい甘さのてんさい糖。グラニュー糖だって植物由来じゃないの? と、スタッフに確認したところ、グラニュー糖は精製の際に動物性の原材料を使用しているそうです。細部までのこだわりを感じるとともに、知識が増える朝です(筆者撮影)動物性のミルクの代替として豆乳クリーム、グラニュー糖の代替としててんさい糖を入れていただきました。
豆乳クリームはコーヒーフレッシュよりもあっさり、てんさい糖は干菓子のような上品な甘みがあり、「いつものコメダより値段は高いけど、味も高級感があってなかなかいいぞ」という感じです。
アーモンドミルクのソフトクリームは香ばしくてミルキー
コメダイズ、オーツオーレフロート アーモンドソフトクリームのモーニングセット 850円(筆者撮影)「コメダイズ」の中で最も気になっていたと言っても過言ではない、アーモンドミルクで作ったというソフトクリームを使用した、「オーツオーレフロート アーモンドソフトクリーム」のモーニングセットもオーダー。
豆乳ヨーグルトや豆乳アイスはスーパーでも見かけますが、アーモンドミルクで作るソフトクリームというのは初耳です。このソフトクリーム、柔らかめの質感のソフトクリームで、写真を撮っている間にもどんどん溶けてきます。
アーモンドの香りが独特のおいしさにつながるミルキーなソフトクリーム(筆者撮影)ロングスプーンですくって食べると、アーモンドの香りがふわりと口に広がります。独特の香ばしさもしっかり感じつつも、濃厚でミルキーに仕上がっていました。
味を普通のソフトクリームに寄せるのではなく、アーモンドミルクならではのおいしさを感じさせます。
オーツオーレはコーヒーをオーツミルクで割ったカフェオレ。オーツミルクはオーツ麦由来の牛乳の代替品ですが、牛乳とは明らかに違う独特の麦の味がしますが、コーヒーとの相性も悪くない。
もともとコメダのコーヒーはコーヒー自体の味が強めなので、オーツミルクと合わせても負けず、コーヒーのおいしさを楽しめます。トーストには小倉あんをトッピングして、甘党にはたまらない贅沢モーニングをキメました。
ふわふわトーストにねっとりおいしい小倉あんをトッピング。至福の朝です(筆者撮影)1店舗だけながら、気合いみなぎる一等地の旗艦店
コメダイズのロゴ入りコースター(筆者撮影)「コメダ珈琲店」は、スターバックス、ドトールにつぐ業界第3位、975店舗の大規模カフェチェーンです。そのなかでプラントベースのメニューが食べられるのは、「コメダイズ」の1店舗のみ。なのにめちゃくちゃ本気です。ガチなんです。
1店舗しかないのに、そのお店のためだけに開発され、生産されるメニューたちと、明らかにお金のかかったコンセプチュアルな店舗設計。さらには専用のロゴに、専用の食器、専用のホームページ、プロが写真撮影をしていると思われる、気合いの入った専用Instagramアカウントなどなど……。
1店舗しかないにもかかわらずお冷専用のグラスにいたるまでロゴをプリントするあたりに、気合いのほとばしりを感じる(筆者撮影)店舗を構える場所は銀座と築地の中間地点である東銀座。人通りは銀座や築地ほど多くはないものの、両方からアクセスできる絶妙な立地です。つまり気合いがみなぎっています。
「コメダイズ」はコメダからのメッセージ
しかもプラントベースとはいえ、食べたものはすべてきちんとおいしく、コメダならではのサイズ感も維持されているところに、コメダらしさもきちんと残しつつで、「なんか絶妙だよなぁ」と関心しきり。今までとの違いを見せつつ、ファンをしっかり満足させてくれます。
筆者は「スタバが若者に支持されるのに対して、コメダ珈琲店っておじちゃんおばちゃんがゆっくりするための店」というイメージを持っていたのですが、「コメダイズ」では、ヴィーガンやサステナブルという、最先端のコンセプトを提示してくることで、「俺たちそれだけじゃないぜ! これからもいい意味で裏切るぜ!」というコメダからのメッセージを受け取ることができた朝でした。
編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。画像をクリックすると本連載の過去記事にジャンプします鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。