【ニューヨーク共同=隈本友祐】中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米運営法人と親会社の字節跳動(バイトダンス)は7日、米国で成立したアプリ禁止につながる法律の差し止めを求め、米政府を首都ワシントンの裁判所に提訴した。表現の自由を保障する合衆国憲法修正第1条に違反すると主張。米国で約1億7千万人の利用者を抱えるアプリの行方は法廷で争われることになった。
法律はティックトック運営側が米国事業を期限内に売却しない場合、アプリ配信を禁じる内容。4月24日にバイデン大統領が署名して成立した。米国は中国への半導体輸出を規制する一方、中国も半導体材料の輸出を制限している。安全保障上の懸念を背景に、米中の対立が強まっている。
ティックトック側は訴状で、法律が求める米国事業の売却は「法的にも商業的にも技術的にも不可能だ」と主張。このままでは2025年1月19日までに閉鎖を余儀なくされるとした上で、売却が可能だったとしても法の下の平等に反し、私有財産の不法な収奪に当たると訴えた。法律が「ティックトックがもたらす脅威を明示していない」とも述べ、データを米ソフトウエア大手オラクルのサーバーに保管するなどの情報保護の取り組みも考慮されていないと指摘した。
米議会では、ティックトックを通じた中国政府へのデータ流出とそれに伴う安全保障上の懸念が超党派で広がっていた。
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