歴史的な円安が続く中、政府・日銀は、ゴールデンウイーク前半の4月29日に、円買い介入をしたとの観測が広がっている。為替相場の攻防を巡り、市場は乱高下を繰り返した。4月29日午前10時、円相場は一時1ドル=160円台に急落後、同日午後1時過ぎから、ドル円は154円台半ばまで反発した。29日の介入と見られ、過去最大規模の約6兆円であると推測されている。また、2日早朝も157円台から153円付近まで円が急伸。市場では、米連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策決定会合後に、米国債利回りが急低下、ドル安圧力が強まったタイミングを見計らい、日本の当局が再び円買い介入に入ったとの見方が広がった。2日は、約3兆円規模の円買い為替介入が実施された可能性が高い。3日午後9時半、市場が注目する4月の米雇用統計が発表された。農業分野以外の就業者数は、市場予想を大きく下回った。雇用統計の悪化を受けて、発表直後、円相場は1ドル153円台前半から一気に151円台後半まで円高方向にふれるなど乱高下した。その後、153円付近まで戻した。
円相場を巡っては、政府・日銀による2度にわたる為替介入があった可能性が指摘される中、国際会議出席のため、ジョージアに滞在中の鈴木財務大臣は、「行き過ぎた動きがあるときにはそれをならすことは必要になるのかもしれない」としたうえで、為替介入の有無に関しては「コメントはしない」と述べた。また、財務省の神田財務官は4月30日、「過度な変動が投機によって発生すると国民生活に悪影響を与える。それに対してはしっかり対応する」と語り、介入有無については明言を避けた。さらに、ジョージアに出張中だった神田財務官は2日、「必要な場合には、私が機内にいようが、海外にいようが24時間適切な対応は取っていく。今後もそれは続けていく」と強調し、投機筋を強く牽制した。
米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)は、1日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、6会合連続の現状維持、政策金利を据え置くと決めた。FRBのパウエル議長は記者会見で、「利下げは適切ではないが、利上げする可能性は低い」と述べた。パウエル議長が利上げの可能性は低いと言及したことで、米金利の上昇による日米の金利差拡大への観測が後退した。4月の米雇用統計で非農業部門の就業者数が前月比で17万5000人の増加で、市場予想の24万3000人を下回ったことを受け、FRBが利上げを見送り、年内に利下げを実施するとの見方が強まった。
★ゲスト:山本雅文(みずほ証券チーフ為替ストラテジスト)、加谷珪一(経済評論家)
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
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